犬の疥癬(疥癬症、ヒゼンダニ症、イヌセンコウヒゼンダニ症)の原因、症状、治療、再発予防



肉眼では見る事のできない、1mmにも満たない微細なヒゼンダニの感染によって引き起こされる、犬の疥癬症(かいせんしょう)について

犬の疥癬症

犬の疥癬は、犬の皮膚にヒゼンダニ(イヌセンコウヒゼンダニ、疥癬虫)と呼ばれるダニの仲間が寄生した事によって引き起こされる、犬の寄生虫性皮膚炎です。

ヒゼンダニの体はとても小さく、オスの体長で0.1~0.2mm、メスの体長で0.3~0.4mmと、肉眼では見る事ができないため、一見しただけでは、皮膚の乾燥やフケ(垢)の増加などの症状が、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎のように見える場合があります。

犬の疥癬は、犬がかかる皮膚病の中では最も痒みが激しい皮膚疾患と言われており、昼夜を問わず、常に猛烈な痒みに襲われるようになるため、犬がしきりに体を痒がって掻きむしるようになり、体中の至るところが傷だらけになってしまう場合があります。

人や猫が感染するヒゼンダニとは種類が異なるため、人や猫の皮膚に定着する事はありませんが、一時的にうつる場合があり、皮膚に寄生すると、強い痒みを引き起こすようになります。

犬の疥癬症の原因

犬の疥癬は、感染犬との直接的な接触よって感染が起こる場合が多く、感染犬が使用した首輪やリード、タオルやブラシなどを介して感染が起こる場合もあります。

感染犬が通った散歩道の草むらや茂みから、他の未感染の犬へと感染が起こる場合もあります。

犬と泊まれる宿泊施設やトリミングサロン、ドッグカフェや動物病院など、犬が多く集まる施設内で、しっかりとした予防策が講じられていない場所では、そのような場所から感染が起こる可能性があります。

また、キツネやタヌキなどの野生動物から感染が起こったり、山中の草が生い茂っている獣道で感染が起こる場合もあります。

ヒゼンダニは、感染力がとても強く、犬の体から離れてもしばらくの間は生息する事ができるため、多頭飼育の場合には、1匹が感染すると、他の全ての犬にも感染が起こる可能性があります。

犬の疥癬症の症状

犬が疥癬にかかると、ヒゼンダニが犬の皮膚の角質層に横穴(疥癬トンネル)を開けて皮下へと入り込み、その角質層の中でうごめいたり、卵を産み付けるなどして繁殖していくようになります。

そのため、犬は昼夜を問わず猛烈な痒みに悩まされるようになり、ひどく体を痒がるようになります。

感染部位の皮膚は、皮膚がカサカサしたように見えたり、フケ(垢)が多く出るようになり、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎のように見える場合もありますが、よく見ると、ヒゼンダニが作った横穴が、線状の肌荒れや発疹になっているのを確認する事ができます。

犬が体中をしつこく引っ掻いたり、噛み付くなどしているうちに、皮膚が少しづつ傷ついてくるため、皮膚がただれたり、赤みを帯びたり、ひどい脱毛なども見られるようになっていきます。

皮膚のダメージがひどくなってくると、じゅくじゅくした状態のひどい傷口が現れたり、皮膚の硬化や黒ずみなどが生じる場合もあります。

そして、やがてはそのような病変が全身へと広がっていきます。

免疫力の弱い子犬や老犬、他の皮膚疾患や慢性疾患を抱えている犬、アトピー性皮膚炎など、もともと皮膚の弱い体質の犬などは、体の至るところへと感染が広がりやすく、重症化しやすい傾向にあります。

細菌による二次感染が起こると、膿を含んだ湿疹やかさぶたができるなど、化膿性の病巣も見られるようになります。

犬の疥癬症の治療、再発予防

犬の疥癬の治療は、最初に皮膚の炎症や脱毛などが生じている病変部の皮膚やかさぶたの一部を採取して、顕微鏡でヒゼンダニやその卵の有無の検査が行われます。

ヒゼンダニの繁殖数がそれほどひどくない場合には、角質層に入り込んだヒゼンダニを検出できない場合もありますが、その卵を発見する事ができれば、疥癬症の確定診断となります。

そのようにして、ヒゼンダニが原因である事が明確になった後は、病変部の被毛を短くカットしたり、駆虫効果のある薬用シャンプーなどで、患部の洗浄が行われます。

駆虫薬の注射や飲み薬が用いられる場合もあります。

細菌や真菌による二次感染が起こっている場合には、抗生物質や抗真菌剤の投与が行われる場合もあります。

犬の皮膚の症状から、暫定的な診断が行われる場合もありますが、アレルギーの一種であるアトピー性皮膚炎と見誤り、免疫力を抑える働きの強いステロイド剤の投与が行われると、投薬後においても、ますますヒゼンダニの繁殖が促進され、症状がさらにひどくなってしまう場合があります。

適切な治療を始めてから、症状が少しずつ快方へと向かっていても、ヒゼンダニの成虫を駆除した後に、駆虫薬では駆除できなかった皮下の卵が孵化すると、再び同じような症状が発生する場合がありますので、しっかり完治するまでは、獣医師の指示に従い、疥癬の治療を続ける必要があります。

飼い主が治療中の犬を触った後は、しっかりと手洗うようにして、衣服も熱湯消毒を行うようにして、再感染が起こらないように注意する必要があります。

ヒゼンダニの成虫や卵に対する熱湯消毒は、50℃以上のお湯に10分間以上浸す事が好ましいとされています。

多頭飼育の場合には、感染犬の病変が完全に治まるまでは、他の同居犬とも生活環境を分け、犬同士の接触を避けるとともに、ハサミやブラシなどのトリミング用品の共用は避ける必要があります。

また、再発を予防するために、犬小屋、ケージ、カーペット、毛布、首輪、リード、ブラシといった感染犬が使用していた物は、しっかりと殺菌したり、熱湯消毒を行う事も大切です。

室内もこまめに掃除機をかけるようにして、なるべく清潔な状態に保つように努める事も大切です。

屋外の山中や散歩道で感染した可能性がある場合には、その後も、犬が近づかないように注意する必要があります。

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