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犬の甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンの働き、甲状腺機能低下症の原因・症状・治療方法)



人は加齢とともに、体力の衰え、免疫力の低下、血圧や血糖値の上昇、ホルモンバランスの乱れ、解毒機能の低下など、様々な体の不調和が起こりやすくなっていきますが、犬も同様に、高齢になってくると、様々な病気を発症しやすくなっていきます。

そのような高齢犬に多く見られる病気の一つに、甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)があります。

甲状腺機能低下症とは

甲状腺機能低下症は、犬の喉元にある甲状腺で作られている甲状腺ホルモンの分泌量が少なくなるために、犬の活力が失われて、ひどく疲れやすくなってしまうホルモン分泌疾患(内分泌疾患)です。

外見からは、犬の被毛の毛艶が悪くなったり、皮膚が乾燥したり、脱毛が見られるようになるケースが多く見られます。

甲状腺ホルモンの働き

甲状腺で合成、分泌されている甲状腺ホルモンは、体の代謝を活発にする働きがありますので、食事の栄養分から運動エネルギーを生み出したり、細胞や組織の形成や修復を行うなど、全身の様々な箇所に影響を及ぼしており、生命維持には欠かせない存在です。

犬が活発に元気よく過ごすためには欠かせないホルモンで、この甲状腺ホルモンが減少してくると、元気消失を起こす事から、元気の出るホルモン(元気ホルモン)とも呼ばれています。

甲状腺機能低下症の原因

甲状腺機能低下症は、自己免疫疾患の影響で、甲状腺の組織を自らの免疫細胞が攻撃してしまう事によって、甲状腺に障害が起こったために引き起こされたり、原因不明の突発的な甲状腺の萎縮によって引き起こされる場合もあります。

甲状腺に腫瘍が生じた場合には、逆に甲状腺の機能が異常に活発に働くようになる、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)を発症する場合がありますが、その腫瘍に対して放射線照射療法を行う事で、甲状腺の機能が失われてしまい、甲状腺機能低下症に至る場合もあります。

また、血液中の甲状腺ホルモンは、脳の下垂体(脳下垂体)で濃度を調整しており、血中濃度が高まってくると分泌量を減らすようにして、血中濃度が低下してくると分泌量を増やすようにして、甲状腺ホルモンの濃度を調整を行っています。

しかし、視床下部で、その下垂体を刺激する甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌に異常が生じたり、下垂体で甲状腺刺激ホルモンの分泌に異常が生じると、甲状腺で分泌する甲状腺ホルモンの濃度調整をコントロールする事ができなくなり、甲状腺ホルモンの血中濃度に異常が生じるようになっていきます。

そのため、甲状腺機能低下症の原因には、甲状腺そのものの問題であるケースや、下垂体(視床下部)の問題であるケースもあります。

甲状腺機能低下症の症状

犬が甲状腺機能低下症になると、体の代謝能力が低下していきますので、元気がなくなり、疲れやすくなります。

そのため、寝ている事が多くなり、散歩にも行きたがらなくなったり、活発に遊ぼうともしなくなる場合があります。

心拍数や呼吸数も低下する事から、動きや動作も鈍くなっていきます。

脳への血流や血糖値にも問題が生じて、てんかん発作や常同行動(異常行動)を起こすようになる事もあります。

そして、体温を調節する働きにも異常が生じるため、夏は暑がり、冬は寒がるようになる事もあります。

表情の変化が無くなり、暗く落ち込んだような表情や、悲しそうな表情になっていく事もあります。

症状の進展は、ゆっくりと時間をかけて進行していくために、加齢のせいと思えてしまう事も多く、その犬の病変に気がつきにくい場合が多いと言われています。

犬の体の様子は、被毛がパサパサとして毛艶がなくなってきたり、被毛が薄くなったり、広い範囲で脱毛が見られるようになる場合があり、皮膚は乾燥してカサカサするようになったり、フケが多くなったり、皮膚の黒ずみなどの色素沈着が見られるようになる場合もあります。

そして、皮膚の抵抗力(バリア機能)が低下するために、細菌などの感染症にもかかりやすくなったり、アレルギーの影響も受けやすくなり、体を痒がる様子を見せるようになる事もあります。

甲状腺機能低下症の治療方法

甲状腺機能低下症の治療は、体内で不足している甲状腺ホルモンを、甲状腺ホルモン製剤などの薬剤によって補充する、薬物治療が中心になります。

甲状腺ホルモン製剤の投薬量が多すぎると、血液中の甲状腺ホルモン濃度が高くなりすぎるため、体温、心拍数、呼吸数、脈拍、血圧などが上昇しすぎて、甲状腺中毒や甲状腺機能亢進症を発症してしまう恐れや、体への負担も大きくなるため、投薬量は血液検査を行うなどして慎重に調整が行われます。

ホルモン補充療法によって、血液中の甲状腺ホルモンが正常値に戻ってくると、活発さが戻ってきたり、皮膚や被毛の改善も見られるようになっていきますが、このような薬物治療は、生涯に渡って継続する事が必要になってきます。

甲状腺機能低下症の明確な予防法はありませんが、重症化して、様々な合併症を引き起こす前に、日頃から愛犬の表情、行動や仕草、体の様子などは注意深く観察しておき、早期発見、早期治療に努める事が大切です。

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