猫のアトピー性皮膚炎は、スキンケアとアレルゲン対策が重要!



猫の皮膚病がなかなか治らないまま、慢性化していたり、体をしきりに痒がって、ひどく掻き毟っている場合には、アトピー性皮膚炎などのアレルギー体質によって、何らかの過敏症が生じている可能性があります。

アトピー性皮膚炎の遺伝子

アトピー性皮膚炎は、喘息(気管支喘息)、鼻炎(アレルギー性鼻炎)、結膜炎(アレルギー性結膜炎)など、遺伝的な影響から引き起こされるアレルギー疾患が、特異的に皮膚の異常として現れる病気で、慢性的な皮膚の痒みや炎症などの諸症状を指す疾患です。

片親がアトピー性皮膚炎だった場合には、その子猫は約30%の確率でアトピー性皮膚炎になる可能性を持つと言われており、両親がアトピー性皮膚炎だった場合には、その子猫は約70%の確率でアトピー性皮膚炎になる可能性を持つと言われています。

しかし、両親や祖父母猫が、ともにアトピー性皮膚炎を発症していないにも関わらず、子猫だけがアトピー性皮膚炎を発症する場合があり、垂直型の遺伝パターンだけに限らず、劣勢遺伝によっても発生しうる、複雑な遺伝パターンによって引き起こされると考えられています。

アトピー性皮膚炎の特異的IgE抗体

アトピー性皮膚炎は、アレルギー症状を引き起こす原因となる抗体(特異的IgE抗体)を、体内で通常よりも大量に作りやすい体質である事が解明されています。

白血球(免疫細胞)の一種であるB細胞でこのIgE抗体が大量に作られると、様々なアレルギー物質(抗原)と結合しやすくなり、それらが結合した事を感知すると、白血球の仲間である肥満細胞(マスト細胞)から、ヒスタミンなどの炎症物質が大量に放出されるようになります。

肥満細胞は、皮膚、粘膜、血管などに数多く存在しており、ヒスタミンを大量に放出する事で、周囲の組織に腫れや充血などの炎症を起こして血流を増加させ、血管透過性も高めるため、様々な種類の白血球を素早く集結させて、免疫力の活性化を図るようになります。

また、ヒスタミンは受容体を持つ細胞と結合する働きがあり、血流に乗って全身へと運ばれていき、体の各所で炎症反応を引き起こすようになります。

アトピー性皮膚炎の皮脂不足

アトピー性皮膚炎の猫には、皮膚の角質層で水分を保持する働きを持つ細胞間脂質(セラミド)が特異的に少なく、通常の1/3程度しか存在していない事が知られています。

細胞間脂質は、まるでレンガの隙間を埋めるセメントのように、角質層を構成する細胞(角質細胞)の連結を強め、水分の蒸発を防ぐとともに、細菌などの外部の異物の進入を防ぐ働きがあります。

また、アトピー性皮膚炎の猫には、通常よりも皮脂の分泌量が少ないために、角質層の表面の皮脂膜が形成されにくく、皮膚がザラザラして角化異常を起こしていたり、乾燥肌によってカサカサした状態になっている事が多く、皮膚外部の刺激に対して過敏になりやすい特徴があります。

そのようにして、アトピー性皮膚炎の猫の皮膚は、通常よりもバリア機能が低下しているために、表皮常在菌である黄色ブドウ球菌が異常に増殖している事が多く、その黄色ブドウ球菌が作り出す毒素(エンテロトキシン、デルタトキシン)が、皮膚の痒みや腫れを誘発したり、症状を悪化させている事が解明されています。

細胞間脂質は、魚油などに多く含まれているオメガ3脂肪酸と植物油などに多く含まれているオメガ6脂肪酸を材料に作られていると言われていますが、現代では、オメガ6脂肪酸を含んだフードが蔓延しており、意識的なオメガ3脂肪酸の摂取や、オメガ6脂肪酸の含有量の低い食事を与えるといった検証においては、アトピー性皮膚炎の症状の改善効果があったとされています。

オメガ6脂肪酸は、体内で炎症反応や動脈硬化を促進する働きがあり、アレルギーの症状をひどくする作用がありますが、オメガ3脂肪酸は、まったく逆の働きがあり、体内で炎症反応を抑制したり、血栓の形成を抑制する働きがあるなど、アレルギーの症状を緩和する作用がある事が知られています。

これらの脂肪酸は、猫の体内では合成する事ができないため、食事から摂取する必要のある必須脂肪酸と言われています。

アトピー性皮膚炎の症状

猫がアトピー性皮膚炎を発症すると、強い痒みが慢性的に生じるようになるため、痒みのある所をしきりに舐めたり、引っ掻いたりするようになり、時には被毛を噛み千切るなどして、自傷行為を繰り返すようになる場合もあります。

このような痒みの症状は、花粉の飛散量が多い時期や、カビが発生しやすい梅雨の時期など、季節的にひどくなる場合があります。

また、最初のうちは、ある時期にだけ症状がひどくなっていたものの、徐々に症状がひどくなる時期が長引くようになり、やがて年中ひどい症状が持続するようになるケースもあります。

病変は、眼の周囲、口の周り、耳の後ろ(耳介)、首元、指の間、脇、股下、下腹部、尻尾の周囲などに見られる事が多く、猫が痒がって掻き続けるために、次第に傷ができたり、脱毛が起こるなどして、徐々に皮膚が傷付いていきます。

免疫力が低下している場合には、細菌による二次感染を起こす事も多く、傷口から膿や浸出液が出ていたり、膿を含んだかさぶたが見られる場合があります。

長い間病変が続いて慢性化している場合には、皮膚の赤みや黒ずみなどの変色(色素沈着)が起きていたり、角質層の破壊と再生が何度も繰り返されたために、皮膚の硬化や角化異常が起こり、まるで象の皮膚のように張りがなくなり、乾燥してゴワゴワした状態になる場合もあります。

アトピー性皮膚炎の改善方法

猫のアトピー性皮膚炎の治療には、ステロイド剤や抗ヒスタミン剤などの薬物治療が行われる事が多い傾向にあります。

このような薬物治療は、即効性があり強力な効き目がありますが、猫によっては皮膚萎縮や脱毛などの副作用が起こりやすい場合があり、下痢や嘔吐を繰り返したり、食欲不振を招くなど、体調不良につながる場合もあります。

そのため、万能薬とは言えない側面もある事も十分に把握しておく必要があります。

長期的な投薬は、猫の体に負担が蓄積する事になりますので、投薬期間や投薬量などの治療方針は、しっかりと入念に説明を聞いておく必要があります。

そして、その後の経過によっては、減薬や休薬の判断を行う事が必要になる場合があります。

また、このような薬物治療の他にも、アトピー性皮膚炎の治療には、皮膚の保湿や保油、食事の見直し、生活環境の改善なども、重要な要素と言われています。

皮膚の常在菌は、アトピー性皮膚炎の症状を誘発したり、悪化させる事が知られていますので、定期的にシャンプーをしたり、除菌スプレーなどで殺菌する事が必要になります。

その後は、皮膚が乾燥しないように、ココナッツオイルや馬油など、猫が口にしても問題の無いオイルを薄く塗るなどして、入念にスキンケアを行う事も大切です。

時には、猫が毎日好んで食べているフードに対して、食物アレルギーが生じている場合もありますので、アレルギー対策用のフードを与えたり、今までのフードとは主原料が異なるフードに変更して様子を見る事も有効です。

急にフードを変えて食べなくなる心配がある場合には、少しずつ期間をおいて変更していったり、レンジで温めてニオイを出すようにすると、食欲がそそられて食べてくれる場合があります。

また、室内のホコリ、ダニの死骸、繊維クズといったハウスダストを吸引して、アトピー性皮膚炎の症状がひどくなる事も多いため、猫の行動範囲はこまめに掃除するようにして、室内の衛生管理にも十分注意する必要があります。

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