猫がひどく痒がるようになる、マラセチア皮膚炎、マラセチア感染症



猫が感染する真菌類には、様々な種類がありますが、中でも強い痒みが生じやすい菌体の一つに、マラセチア酵母様真菌があります。

マラセチア酵母様真菌は、皮膚や粘膜にもともと存在している常在菌で、酵母菌のように細胞分裂しながら繁殖する性質と、枝状の菌糸を伸ばしながら繁殖する性質をともに持ち合わせている、真菌類(カビの仲間)です。

毛穴から分泌する皮脂を栄養源にして繁殖する性質があるため、余分な皮脂を分解してくれる善玉菌と見られていますが、免疫力の低下や皮脂の増加によって過剰繁殖が起こると、皮膚の赤みや脱毛などの病変を引き起こすようになります。

このようなマラセチア酵母様真菌によって引き起こされる皮膚病は、マラセチア皮膚炎、マラセチア感染症といった菌体の名称のついた病名で呼ばれる場合や、脂漏症、脂漏性皮膚炎といった皮脂の分泌量の多い体質のついた名称で呼ばれる場合もあります。

マラセチア皮膚炎の原因

猫がマラセチア皮膚炎を引き起こす原因は、感染猫との直接的な接触によって大量の菌体が体に付着する事によって病変が引き起こされる場合や、感染猫を触った飼い主が、手を洗わないまま、飼い猫を触るなどしてうつる場合があります。

また、栄養分の偏り、ストレス、内臓疾患、ウイルス感染症などから、猫の免疫力が低下しており、もともと皮膚にいた常在菌のマラセチア菌が過剰繁殖を起こしたために、皮膚に病変が生じるようになる場合もあります。

内分泌器官の障害や、避妊や虚勢の影響によって、体内のホルモンバランスが変化して、新陳代謝が異常に活発になってしまい、皮脂などの汗腺分泌物が過剰に多くなったために、マラセチア菌が異常繁殖を起こしてしまう場合もあります。

ペルシャ、ソマリ、シャム、チンチラなど、もともと皮脂の分泌量が多く、体がベトつきやすい体質の猫種は、このような皮脂を好むマラセチア菌が繁殖しやすい傾向にあります。

また、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーによるアレルギー性皮膚炎や、他の細菌感染症や寄生虫感染症による皮膚病によって、皮膚が傷付いて抵抗力が弱まっているために、このような真菌類が繁殖しやすくなっている場合もあります。

多頭飼いの場合には、1匹の猫が感染すると、他の猫にも接触する事によって感染したり、抜け落ちた被毛やフケを介して感染する場合があります。

マラセチア皮膚炎の症状

猫のマラセチア皮膚炎は、マラセチア菌が好む皮脂が過剰に分泌してしまっている事が多く、体がベトベトしていたり、独特な体臭が生じているケースが多く見られます。

また、マラセチア菌の繁殖によって、皮膚の角質層や毛根が傷つけられるため、皮膚が乾燥してフケが多くなったり、脱毛が見られるようになる場合もあります。

マラセチア菌は、皮脂を分解しながら脂肪酸を作り出していきますが、その脂肪酸が酸化したり、活性酸素の働きによって過酸化脂質に変わると、揮発性アルデヒド類の悪臭ガスを発生させて、細胞毒性も持つようになり、細胞内にも浸透する性質を持つようになります。

そのため、これらの毒素が大量に作られるようになると、皮膚が真っ赤に腫れたような状態になる場合があり、強い痒みを引き起こすとともに、不快な体臭を発生させるようになります。

マラセチア菌の菌体そのものや、脂肪酸や過酸化脂質などの代謝産物に対してアレルギーを示す場合もあり、激しい痒みに悩まされるようになる場合もあります。

このような病変は、マラセチアアレルギーと呼ばれています。

そして、猫が痒みのある箇所を何度も激しく掻き毟ったり、自分の体臭への違和感から、何度も舐め続けるなどして皮膚が傷付いてくると、さらに皮下組織へとマラセチア菌が入り込みやすくなったり、他の細菌による二次感染が起こりやすくなり、さらに皮膚の炎症や痒みがひどくなっていきます。

耳の中にも感染が及ぶ場合もあり、耳の中からも異臭が生じるようになったり、ベトベトした粘度の高い耳垢が多く溜まるようになる事があります。

このようにして、マラセチア菌の感染が耳の中まで及ぶ事によって引き起こされる外耳炎は、マラセチア外耳炎(マラセチア性外耳炎)と呼ばれています。

マラセチア皮膚炎の治療

猫の皮膚や被毛の間に汚れが多く溜まっていたり、皮脂や垢などの老廃物が多く溜まっている場合には、マラセチア菌が繁殖しやすい環境になるため、最初にシャンプーや薬浴による患部の洗浄が行われます。

耳の中にも病変が生じている場合には、耳の中の洗浄も行われます。

そして、マラセチア菌の繁殖を抑える抗真菌薬を使用して治療が行われます。

何度も繰り返し再発している場合や、慢性化して治らない場合などは、他に原因が潜んでいる可能性があるため、病理検査や血液検査などの詳しい検査が行われる場合もあります。

アレルギー、寄生虫感染、ホルモン分泌異常、内臓疾患、ウイルス感染症など、他にも症状を悪化させている病変がある場合には、その治療も同時に行われます。

多頭飼いの場合には、治療中は飼育スペースを分けたり、隔離飼育を行うなどして、他の猫にうつさないように注意する必要があります。

また、稀に人にもうつる場合がありますので、ブラッシングなどのお手入れの後には、しっかり手洗いを行う事も大切です。

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