犬の脂漏症(脂漏性皮膚炎)の原因菌、マラセチア酵母様真菌について



犬の体から独特な発酵臭や酸味臭が強く生じるようになり、また同時に、犬がひどく痒がるようになる皮膚病の一つに、脂漏症(脂漏性皮膚炎)があります。

脂漏性湿疹と呼ばれる場合や、原因菌の名称からマラセチア皮膚炎(マラセチア感染症)と呼ばれる場合もあります。

これは、犬の毛穴から分泌する皮脂の量が過剰に多くなりすぎるために、皮膚や粘膜に存在している常在菌の一つであるマラセチア酵母様真菌が、皮膚で過剰に繁殖してしまい、皮脂の分解産物である脂肪酸(遊離脂肪酸)とグリセリンを大量に作り出す事によって引き起こされる病変です。

脂肪酸は、空気中の酸素や活性酸素の影響から、毒性の強い過酸化脂質に変化するため、皮膚や毛穴に炎症を引き起こす原因になります。

毛穴の毛包部に炎症が生じる場合もあり、そのような病態は、マラセチア毛包炎と呼ばれています。

また、皮脂が酸化した過酸化脂質は、揮発性成分であるアルデヒド類の悪臭ガスが発生し、汗腺分泌物のタンパク質やアミノ酸などの成分と混ざり合い、強い不快臭が生じるようになります。

マラセチア酵母様真菌は、湿気や汚れの溜まりやすい耳の中で急増する場合も多く、犬の外耳炎の原因のうち70~80%は、このマラセチア酵母様真菌によって引き起こされると言われています。

マラセチア酵母様真菌は、細胞分裂をしながら増殖する円形または楕円形の酵母菌と、菌糸を伸ばしながら増殖する枝状の形をした糸状菌の性質を、いずれも合わせ持っている真菌(カビ)の仲間です。

犬の体温ほどの温かさがあり、皮膚のわずかな水分量でも生存する事ができ、毛穴から分泌する皮脂を栄養源にしながら繁殖を繰り返しています。

もともと皮膚に存在している常在菌で、皮膚の免疫力や細菌同士の均衡を保つ働きなどから、一定の割合に保たれており、過剰繁殖を起こす事がありませんので、通常は、体臭異常の原因になったり、皮膚炎を誘発する事もありません。

しかし、ホルモンバランスの変化や内臓機能の異常などから、皮脂をはじめとする汗腺分泌物が異常に多く分泌するようになると、マラセチア酵母様真菌の栄養分が豊富になるため、繁殖に適した環境になり、活発に増殖を行うようになります。

時には、犬のシャンプーが皮膚に合わない場合や、シャンプーの頻度が過剰に多すぎるために、皮膚が乾燥してしまい、それを補うようにして、皮脂の分泌量が過剰に多くなってしまい、マラセチア酵母様真菌の過剰繁殖を招いてしまう場合もあります。

また、皮膚や被毛に汚れが溜まっているなどして、他の黄色ブドウ球菌などの細菌が過剰に繁殖する事によって、表皮で大量の毒素が作られたり、花粉やカビの胞子などのアレルギー物質に対して、皮膚が過敏に反応してしまい、そのような刺激によって、自然に皮膚の自浄作用を高めるために、汗腺分泌物が増加するようになる場合もあります。

アトピーなどのアレルギー性皮膚炎の場合には、もともと皮膚のバリア機能が弱いために、このような外部の刺激に対して過敏な反応が起こりやすくなります。

また、ノミやダニなどの寄生虫や、その死骸が皮膚の刺激となる場合もあります。

他にも、加齢とともに皮膚が乾燥しやすくなり、それを補うようにして、皮脂の分泌量が多くなってくる場合もあります。

マラセチア酵母様真菌は、余分な皮脂を分解してくれるため、皮膚の状態を正常に保つ役割もあるのですが、あまりにも皮脂の分泌量が多くなり、急激にマラセチア酵母様真菌が繁殖し続けると、体臭異常を引き起こしたり、皮膚病を引き起こすようになります。

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