犬の胃炎(急性胃炎と慢性胃炎)について



犬の胃炎とストレスの関係

ストレスは胃の病気と深く関わっている事が知られていますが、犬も人間と同じように、ストレスの影響によって、胃酸の分泌量が過度に多くなったり、胃粘膜を守る働きのある粘液の分泌量が少なくなるなどして、胃に炎症が起こったり、潰瘍が生じる場合があります。

これは、ストレスによる刺激が脳に伝わった際に、脳の視床下部が交感神経を優位にさせるためだと言われています。

脳の視床下部は、交感神経と副交感神経を調整している自律神経系の中枢で、全身の内分泌器官(ホルモン分泌器官)も総合的に支配している事が知られています。

そして、食事、飲水、睡眠、性衝動といった本能的な行動の中枢であり、生命維持における最高中枢とまで言われています。

ストレスによって交感神経が優位になると、体は戦闘モード(緊張状態)になりますので、全身の血管が収縮して、血圧が上昇して、心拍数が高くなり、脳を含む全身が活動的になります。

同時に、胃の血管も収縮するため、胃へ流れる血液量が減少して、胃粘膜を守る粘液の分泌量が減少するようになります。

また、唾液の分泌量も減少するようになります。

人が緊張すると口がカラカラに渇いてしまうのは、このようなメカニズムによるものです。

このように体が戦闘モードの時は、食欲が低下した状態になるのが通常ですが、より強いストレスや慢性的なストレスを受けるなどして、胃の収縮運動や、胃酸を分泌したり、胃粘膜を守る粘液を分泌する働きがひどく乱れてしまうと、胃の中にある細い血管が傷付けられたり、活性酸素が多く発生するようになり、胃炎や胃潰瘍が生じやすくなっていきます。

さらに、保存状態の悪いフードの摂取、木屑やプラスチック片などの異物の誤食、刺激の強い飲み薬の摂取などから、ますます胃が荒れやすくなってしまう場合があります。

犬の胃炎の種類と主な原因

犬の胃炎は、急性胃炎と慢性胃炎に大別されています。

どちらも胃粘膜に炎症が起こっている事に違いはありませんが、突発的に発症して、原因を取り除く事ができれば数日から1週間前後のうちに快方へ向かうものが急性胃炎とされており、胃粘膜の炎症が繰り返し起こっていたり、胃液や粘液を分泌する働きが乱れた状態が続いているなど、長期間にわたって胃の働きが乱れた状態になっているものが慢性胃炎とされています。

また、慢性胃炎は、胃潰瘍や胃がんに進展するリスクもあると言われています。

犬の急性胃炎は、異物の誤食や薬物に対する中毒、細菌や寄生虫などの感染症によって引き起こされる事が多く、犬の慢性胃炎は、ストレスやアレルギー、腎臓病や肝臓病などの慢性疾患から引き起こされる事が多いと言われています。

犬の急性胃炎の原因と症状

犬の急性胃炎は、突発的に起こった胃粘膜の炎症で、フードの腐敗による食中毒、ご飯の食べ過ぎ、食べてはいけない食材の摂取、毒物や薬物による中毒、ジステンパーウイルス、犬回虫、フィサロプテラ(胃虫)の感染などから引き起こされます。

強いストレスやアレルギーが原因となる場合もあります。

犬が急性胃炎を発症すると、その多くは胃から強い痛みが生じるようになります。

そのため、ある時から急に元気が無くなったり、動かずにじっとしている事が多くなったり、表情が沈んだようになるなど、何らかの異変を察知できる場合がありますが、犬は飼い主に対して執拗にスキンシップを行う事が多いため、お腹の痛みを飼い主に上手に訴える事ができない事も多く、飼い主もそれに気がつけないケースもよく見られます。

それでも、胃の痛みの影響で犬がよだれを垂らすようになったり、嘔吐をしたり、嘔吐した内容物に血が混じっている事などから、犬の胃炎の疑いを把握できるようになります。

犬の慢性胃炎の原因と症状

犬の慢性胃炎は、過度なストレス、アレルギー、腎臓病や肝臓病などの慢性疾患、アジソン病(副腎皮質ホルモンの不足)、胃の運動異常などから引き起こされます。

ステロイド薬などの強い薬剤の長期服用や、ジステンパーウイルス、犬回虫、フィサロプテラ(胃虫)の感染が原因となる場合もあります。

犬の慢性胃炎は、胃炎(急性胃炎)が1週間以上持続しているもので、急性胃炎の症状のように、元気がないまま嘔吐が治まらずに続いていたり、食欲不振や体重の減少なども見られるようになります。

嘔吐の回数が多くなると、体内の水分が失われていきますので、喉が渇きやすくなり、水を飲む量も多くなっていきます。

腹痛が続いている場合には、触られるのを嫌がったり、痛がるようになる場合もあります。

犬の嘔吐について

空腹の状態が長時間続いていた場合には、胃酸が多く分泌しすぎていたり、黄色い胆汁が胃に逆流してしまい、一時的に嘔吐を起こす場合はありますが、嘔吐した後もケロっとした様子で元気にしていたり、食欲も旺盛のままご飯をしっかり食べている場合には、それほど心配する必要は無いと言われています。

そのような場合は、1回の食事量が多くドカ食いをしている可能性があり、1回の食事量を少なく抑え、食事回数を増やす事も考慮する必要があります。

逆に、食事やおやつなどをこまめに与えている場合には、食べ過ぎで胃が疲弊している可能性があり、1回の食事量を増やした上で食事回数を減らす必要があります。

胃腸が疲弊している場合には、1~2回の食事を抜く事で、胃腸が休まり、胃の収縮運動も正常化して自然に嘔吐が治まるケースもよく見られます。

老犬の場合には、若い頃に比べると胃腸の働きが低下してくるため、そのように食事の与え方を変更したり、ドライフードをお湯で柔らかくしたり、より細かく砕いてあげるなどして、胃腸の負担を軽減してあげる事も必要な場合があります。

胃腸の働きにも個体差はありますので、その犬に応じて配慮してあげる必要があります。

頻繁な吐き気があり、何度も吐こうとしながら内容物を吐き出せない場合には、腎臓疾患による尿毒症のケースも考えられますが、異物が胃に残ったままになっており、上手に吐き出せていない場合もありますので、なかなか治まらない場合には、医療機関で詳しい検査を受ける必要があります。

犬の胃炎の治療

犬の急性胃炎の治療方法は、基本的には絶食絶水を行う事です。

絶水は12時間、絶食は24時間が目安とされており、胃を強制的に休ませる事で、自然な修復を促す事になります。

犬が水を欲しがる場合には、氷を舐めさせるなどして、少量の水分摂取に留めるようにします。

また、原因の異物を下剤によって排泄を促したり、嘔吐を促す薬剤を投与する場合もあります。

脱水症状がひどい場合には、点滴による水分補給が行われる場合もあります。

そして、症状の回復とともにスープや流動食を与えながら、胃を正常な状態へと慣らしていきます。

犬の慢性胃炎の治療方法は、その原因となっている慢性疾患に対する治療が行われたり、胃酸の分泌を抑える薬剤の投与や、高繊維・低脂肪食に切り替える事などの指導も行われる場合があります。

また、栄養補給や水分補給を目的に、点滴治療が行われる場合もあります。

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