猫の肝臓病(肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝臓がん)



猫の肝臓の働き

猫の肝臓は、体重の2~3%を占めており、体内では最大の臓器と言われています。

心臓から送り出される血液のうち、約25%の供給を受けており、栄養素の消化、吸収、代謝、貯蔵に関与し、血液の主成分の合成や、有害物質の分解、無毒化といった様々な働きを行っています。

肝臓は予備能力が非常に高い臓器と言われており、全体の5分の4以上がダメージを受けても異常が現れない事から、沈黙の臓器と呼ばれています。

そのため、何らかの異常が現れた際には、かなり病状が進行してしまっているケースも少なくないと言われています。

しかし、肝臓は他の臓器に比べて、非常に再生能力を持つ事が知られており、8割近く切除した後も、残された肝細胞が健全であれば、再生する事が可能と言われています。

猫の肝臓病の原因

猫が肝臓病になる原因の一つには、猫が口した食べ物による影響が挙げられます。

猫はご飯を少量しか食べなかったり、好き嫌いが激しいなど、食に対して保守的なケースもよく見られますが、毎日、嗜好性の高いおやつばかりを与えていたり、高タンパク、高脂肪のフードばかりを与えていると、肝臓への負担が大きくなると言われています。

また、猫にとっては毒性の高い、タマネギ(ネギ類)、チョコレート(ココア)、ブドウ(レーズン)、アボカドなどの食品の誤食にも、十分注意が必要です。

人間の風邪薬やサプリメントも、猫にとっては毒薬となる程に、成分が強すぎたり、量が多すぎる事になりますので、絶対に誤食しないように、テーブルやタンスの上など、身近な所に置いてはいけません。

猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)や猫白血病ウイルス(FeLV)などのウイルスの感染や、トキソプラズマなどの原虫(寄生虫)に感染する事によって、肝臓病が引き起こされる場合もあります。

他にも、先天的な障害、心臓病による肝臓への血流悪化、自己免疫疾患、腫瘍、ホルモン分泌異常などが原因となって、肝臓病が誘発される場合もあります。

猫の肝臓病の種類

(1)猫の肝炎

猫の肝炎は、細菌、真菌、ウイルス、寄生虫などの感染症、薬物や毒物による中毒の影響で、肝臓内の血液の通り道に接している組織に、炎症が起こる病気です。

炎症の起きている箇所には白血球が入り込むため、肝細胞が少しずつ破壊されていきます。

1~2ヶ月程で治るものを急性肝炎と言い、6ヶ月以上続くものを慢性肝炎と言います。

肝硬変へ移行するものの多くは慢性肝炎で、肝硬変へ移行する前に脂肪肝という病態が見られる場合があります。

そして、肝硬変が重症化すると、肝臓がんや肝不全(肝臓の機能不全)を引き起こす場合があります。

治療後に治ったように見えても、症状が再燃する場合があるため、長期的に検査や治療を行っていく必要があります。

(2)猫の脂肪肝(猫肝リピドーシス)

猫の脂肪肝は、肝臓に脂肪が溜まり、肝機能が損なわれた状態になる病気で、猫肝リピドーシスとも呼ばれています。

太っている猫に多く見られる傾向にあります。

腸から吸収された脂肪分は、脂肪酸となり、予備エネルギーとして肝臓に蓄積されますが、通常は肝臓内のタンパク質と結合して、血液中へと流れていくものですが、肝臓に送り込まれる脂肪酸が過剰に多くなってくると、タンパク質との結合が間に合わなくなり、肝臓内の脂肪として蓄積されていくようになります。

このような脂肪の蓄積が進んでくると、肝細胞が脂肪へと置き換わっていき、繊維質の細胞だけが残るようになります。

そして、線維化とともに柔軟性を失っていき、硬くなっていきます。

そして、ひどくなると肝硬変を引き起こすようになります。

肝硬変にまでは至っていない場合には、肝機能の回復は可能と言われています。

(3)猫の肝硬変

猫の肝硬変は、肝臓の炎症部分を何度も修復した事や、脂肪肝による線維化がひどく進んだ結果、肝臓内の繊維組織が萎縮して硬くなった状態になる病気です。

肝硬変が起こると、様々な生命維持に関与している肝臓の機能が著しく低下してしまうため、他の臓器にも悪影響が及び、様々な疾病を引き起こすようになります。

肝硬変が重症化すると、肝臓がんを併発したり、肝不全に至る場合があり、命を落とす危険性が高まっていきます。

肝硬変の最も多い原因は、肝炎(慢性肝炎)からの移行によるもので、細菌、真菌、ウイルス、寄生虫などの感染症、タマネギやチョコレートなどの誤食、高脂肪食や高タンパク食の与えすぎ、自己免疫疾患、胆のう炎、腫瘍などから引き起こされると言われています。

(4)猫の肝臓がん(肝がん)

猫の肝臓がんは、肝臓そのものの肝細胞から発生した原発性肝がんと、他の臓器で発生したがんが、肝臓に転移して腫瘍を作った転移性肝がんに大別されます。

原発性肝がんは、肝硬変からの移行によって起こる事が多いと言われています。

転移性肝がんは、他の臓器で発生したがんが転移したものですが、肝臓は、肺、胃、すい臓、大腸などからの血液が多く流れてくるため、消火器などの臓器にがんがある場合には、転移性肝がんを併発するリスクが高くなります。

猫の肝臓病の症状

肝臓は、沈黙の臓器と呼ばれているように、猫の肝臓病の初期の頃は、ほとんど無症状であるため、初期のうちに病変に気がつく事は、とても難しいと言われています。

猫が肝炎などから肝臓の機能が低下してくると、下痢や嘔吐が多くなったり、多飲多尿(飲水量が増え、尿量も増える事)や食欲不振が見られるようになり、元気も無くじっとしていたり、眠ってばかりいる事が多くなります。

そして、食欲の低下とともに体重が減少してくるようになります。

食欲が旺盛で太っている猫が、ある時から急に食べなくなった場合には、脂肪肝を発症している可能性が疑えます。

また、猫の肝臓病特有の症状として、目の結膜、歯茎、唇、口蓋(こうがい)などが黄色っぽくなる、黄疸が見られるようになります。

急性肝炎の場合には、黄疸の症状が色濃く出やすく、尿の色も濃くなるなど、肝臓の異常が見た目からも把握しやすいと言われています。

肝炎や脂肪肝が重症化しており、肝臓病の末期症状である肝硬変に移行している場合には、重度の黄疸が見られるようになり、腹水、痙攣、昏睡なども見られるようになります。

肝臓がんを併発すると、リンパ節の腫れや持続的な微熱などが起こり、ぐったりしている事が多くなり、運動したり、触られるのを嫌がるようになります。

猫の肝臓病の治療

猫の肝臓病の治療は、輸液による水分や栄養成分の補給を行い、安静に保ちながら体力の維持を図るとともに、その症状に応じて強肝剤などの薬剤の投与が行われます。

また、二次感染を防ぐ目的で抗生物質の投与が行われる事もあります。

極度の食欲不振によって食事を全く取らなくない場合には、流動食による強制給餌を行ったり、栄養素を強化した食事を与える事が必要になります。

肝硬変など、容態がひどく重症化している場合には、症状の軽減を目的とした支持療法が中心に行われます。

猫の肝臓病の予防

猫の肝臓病を予防するには、猫伝染性腹膜炎(FIPV)や猫白血病(FeLV)などのウイルス感染症や、トキソプラズマなどの寄生虫感染症といった、肝臓病を引き起こす可能性のある病気にかからないように、自由な外出はさせないようにして、室内飼育に徹する事が重要です。

人間の食べ物、サプリメント、薬剤などは、猫が誤って食べてしまわないように、猫の居住スペース内には絶対に置かないようにする事も大切です。

普段から嗜好性の高いおやつを頻繁に与えていたり、高タンパク、高脂肪のフードばかりを与えていると、肝臓にかかる負担が大きくなりますので、十分注意が必要です。

また食べ過ぎによる肥満も、肝臓病の発症リスクを高める事になりますので、体重に応じた食事量に留めるようにして、太らせないようにする事も大切です。

猫にとってチューリップ(ユリ科)やチョウセンアサガオ(ナス科)などの植物は大変危険と言われており、葉を1枚食べただけでも中毒死する場合がありますので、猫の居住スペース内には植物を置かないようにして、衣服にも花粉が付着しないように、飼い主も触らないように努める必要があります。

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