犬の皮膚病と皮膚のかゆみについて



犬の皮膚について

犬の体は、全身が濃い体毛に覆われていますが、皮膚そのものは大変薄く、人間の皮膚に比べると5分の1から3分の1程度の厚さしかないと言われています。

そのため、外部からの刺激に対しては非常にデリケートで、軽微な痒みや痛みといった違和感が起こりやすく、舐めたり、噛んだり、引っ掻いたりしているうちに、次第に皮膚の炎症がひどくなり、皮膚病へと発展してしまう場合があります。

犬の皮膚病は、動物病院に訪れる犬の病気の種類の中では、最も多い疾病と言われています。

犬の皮膚病は、病原菌、寄生虫、アレルギー、ホルモン異常など、原因は様々で、またそれらの原因が複合的に関与しているケースもあります。

また、遺伝的な影響によって皮膚病が誘発される場合もあり、重症化するとなかなか治りにくくなってしまう場合もあります。

犬の皮膚病の原因

犬の皮膚病の原因には、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染、アレルギー、ホルモン異常などがあります。

1.細菌感染(黄色ブドウ球菌)

黄色ブドウ球菌などの皮膚の常在細菌が過剰に繁殖したために起こる、皮膚の細菌感染症です。

加齢や病気による免疫力の低下や、アレルギーの治療薬(免疫抑制剤)が引き金となる場合もあります。

2.真菌感染(マラセチア菌、白癬菌)

マラセチア菌や白癬菌などのカビ(真菌)の一種が、皮膚で過剰に繁殖したために起こる皮膚の真菌感染症です。

カビ(真菌)の栄養源である皮脂の分泌量が多い体質の犬に起こりやすい傾向にあります。

3.寄生虫感染(ノミ、ダニ)

ノミ、マダニといった大型の寄生虫や、ニキビダニ、ヒゼンダニといった肉眼では見る事のできない微細な寄生虫に感染したために起こる、皮膚の寄生虫感染症です。

皮膚の抵抗力の弱い子犬や老犬は、全身へと広がり重症化する場合があり、また、免疫力も脆弱なため、アレルギーを引き起こす場合もあります。

4.アレルギー(アトピー)

ホコリや花粉などの吸引、ドッグフードに含まれる特定の食材の摂取、草花や金属などのアレルギー物質への接触などから、免疫作用の過剰反応が起こる、難治性の皮膚炎です。

アトピー性皮膚炎は、遺伝的な影響から、皮膚が乾燥しやすく、また、アレルギーを起こしやすい体質によって引き起こされる、アレルギー性皮膚炎の一種と言われています。

細菌、真菌、寄生虫などの感染症からアレルギー反応が起こり、症状が複雑化しているケースもあります。

5.ホルモン異常(甲状腺疾患、副腎疾患)

甲状腺や副腎といったホルモンの分泌器官(内分泌腺)の異常によって、皮膚の萎縮、乾燥、脱毛などが起こる慢性皮膚炎です。

免疫力の低下とともに、皮膚の抵抗力が低下するため、病原菌、寄生虫、アレルギー物質など、外部の刺激に影響を受けやすくなります。

犬の皮膚病の症状

犬の皮膚病の症状には、痒みが伴う事が多いと言われています。

アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、疥癬(ヒゼンダニ症)などは、特に強い痒みが慢性的に生じる事が多く、夜中もぐっすりと眠れなくなり、元気が無くなったり、食欲が低下したり、イライラと怒りっぽくなる場合もあります。

細菌感染の場合には、湿疹やかさぶたに黄色い膿が見られる事が多く、真菌感染の場合には、フケが多くなったり、体臭が強くなる傾向があります。

犬は皮膚に不快な痒みが生じると、我慢できずに何度も舐めたり、噛んだり、引っ掻く事を繰り返すため、それによってますます皮膚が傷ついてしまい、どんどん悪化させてしまうという悪循環を招く事になります。

そのような皮膚の痒みは、皮膚が乾燥していたり、睡眠中などで皮膚が温まると、さらにひどくなる場合があります。

時には、皮膚の痒みや痛みなどの違和感が全く無いにも関わらず、緊張感や不安感などのストレスを紛らわそうとして、しきりに同じ所を舐め続けたり、引っ掻く事を繰り返し、それが皮膚炎へと進展する場合もあります。

そのようなストレスによる反復的な行動は、常同行動(常同障害)と呼ばれており、その常同行動によって何度も同じ所を舐め続ける事で生じた皮膚炎は、舐性皮膚炎と呼ばれています。

室内を散らかしたり、タオルを噛み千切ったり、室内を激しく走り回るなどして、ストレスを発散しようとする行動(転位行動)を注意され続けると、常同行動を起こしやすくなり、やがて皮膚炎を引き起こしてしまう場合があります。

犬の皮膚病の検査方法

犬の皮膚病の原因には、様々な要素が可能性として挙げられますが、その検査においては、犬の皮膚病の中では最も多いとされている、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染を最初に疑い、痒みのある皮膚の一部を採取して、顕微鏡で調べる検査が行われます。

細菌が見つかれば、細菌感染と断定され、真菌が見つかれば真菌感染と断定され、寄生虫が見つかれば、寄生虫感染と断定され、それぞれの原因に応じた治療方法が選択されます。

また、皮膚に異常が見られる病巣から採取した組織を元に、細菌や真菌を培養して、原因菌を特定したり、その病原菌に有効な抗生物質や抗真菌薬を見定める、細菌検査が行われる場合もあります。

視診で確認できる大型のノミやマダニの寄生が判明した場合には、駆虫薬などを使用して、その駆除が行われます。

アレルギー性の皮膚疾患の疑いがある場合には、採血を行い、血液中のIgE抗体の濃度を測定して、体内でアレルギー反応が生じているかどうかの検査が行われます。

そのような皮膚の病理検査や血液検査などからも、原因がはっきりしない場合や、治療を続けていても一向に治らない場合には、他の内臓疾患や腫瘍なども疑い、レントゲン検査(X線検査)やエコー検査(超音波検査)などの詳しい検査が行われる場合があります。

犬の皮膚病は、このような検査によって、いくつもの原因が複合的に見つかる場合もあります。

犬の皮膚病へのケア

人にもそれぞれの皮膚体質があるように、犬の皮膚体質もまた、いろいろな個体差があります。

生まれつきアトピーの素因を持っており、皮膚が弱く乾燥しやすい場合には、皮膚のバリア機能が通常よりも弱いため、皮膚の痒みが生じやすく、様々な病原菌やアレルギー物質へも過敏に反応しやすくなります。

また、シャンプーの頻度や溶液の使用量も、その犬によって様々ですので、一様にお手入れを行うのではなく、皮膚の状態などの経過を見ながら行う必要があります。

犬は皮膚病がきっかけとなり、外耳炎、角膜炎、指間炎、肛門腺炎などの他の病気を併発する事もありますので、愛犬が体を痒がる様子を頻繁に見せるかどうかは、気にしておく必要があります。

犬の皮脂は、多すぎても、少なすぎても問題があると言われており、過剰な皮脂は、真菌(カビ)などの繁殖を誘発して、痒みを引き起こす原因になり、皮脂の不足もまた、皮膚の乾燥を招き、痒みを誘発する原因になります。

そのため、犬が痒がる仕草などがないかどうか、日々確認をしながら、シャンプーの頻度を変更したり、馬油やココナッツオイルなど、口に含んでも問題の無い油分でスキンケアを行う事も必要な場合があります。

また、加齢とともに体質が変化して、今まで口にしていても問題の無かったドッグフードに対してアレルギー反応が起こるようになる場合もありますので、嘔吐や下痢(軟便)が多く見られるようになったり、食後、数分から数時間といった早いうちに、口の周りや皮膚を痒がる場合には、食物アレルギーを疑って、ドッグフードの種類を変更する事も必要な場合があります。

食物アレルギーは、アレルギー反応を引き起こす食材さえ摂取しなければ、症状そのものを無くす事ができると言われています。

犬はどうしても加齢とともに胃腸が弱くなってきたり、免疫力が低下してくるなど、体に不調は生じるものですが、腸は免疫機能の中枢とも言われており、全身の免疫細胞の70~80%は腸に集中していると言われていますので、無糖ヨーグルトや納豆などの発酵食品を与えて、腸内環境を整える事も、体質改善に有効な場合があります。

そして、ホコリやダニ、細菌やカビ(真菌)などを極力寄せ付けないためにも、愛犬の体や身の周りの生活環境は、いつも清潔な状態に保つように努める事も大切です。

光の力で驚きの効果を生み出す光触媒テクノロジー、安心安全な抗菌・除菌・消臭ミスト