犬の肝臓病(肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝臓ガン)の症状、検査、治療について



犬の肝臓の働き

肝臓は、栄養分の分解、合成、貯蔵を行ったり、体内の老廃物(毒素)の分解、無害化を行う他にも、脂肪分の消化吸収を助ける胆汁の生産、分泌を行っている臓器です。

肝臓は、他の臓器に比べて余力(予備能力)が非常に大きな臓器と言われており、肝臓が正常な犬は、最大能力の30~40%程度を使って生活していると言われています。

また、まるでトカゲのしっぽのように、70%程度を手術で切除した場合にも、驚異的な再生能力によって元の大きさまで戻る、唯一再生する事のできる臓器です。

肝臓内の細胞は、肝炎などから肝細胞の変性や壊死が起こると、そのダメージを受けた組織を再生しようとして、細胞分裂が盛んに起こり、常に肝臓の機能を維持しようと働いています。

それほどまでに、肝臓の再生、修復能力が優れている事は、生命維持に極めて重要な役割を担っているためだと考えられています。

犬の肝臓病(肝疾患)

肝臓は、肝細胞の一部に炎症が起こったり、脂肪が溜まりすぎるなどして、本来の働きが低下した場合にも、余力(予備能力)が大きな臓器ですので、それらの肝臓病(肝疾患)の症状が現れるには、かなり進行した状態でないと発見する事が難しいと言われています。

そのような事からも、肝臓は沈黙の臓器と呼ばれています。

犬の肝臓病は、肝炎から肝硬変へと移行していき、やがては肝臓ガンを引き起こすようになる場合があります。

肝炎から肝硬変へ移行する前に、脂肪肝という病態が見られる場合もあります。

犬の肝炎

肝炎は、何らかの影響によって、肝臓内の組織に炎症が起こる病気です。

肝炎の原因には、細菌や真菌、ウイルスや原虫などの病原体の感染(細菌性肝炎、ウイルス性肝炎)、薬剤の過剰摂取やその副作用(薬物性肝炎)、タマネギやチョコレートなどの食べてはいけない食材による中毒、高脂肪食や高タンパク食の与えすぎ、自己免疫疾患(自己免疫性肝炎)、胆のう炎、腫瘍などがあると言われています。

肝炎には、慢性肝炎と急性肝炎に大別されていますが、肝硬変に移行するものの多くは慢性肝炎と言われています。

犬の脂肪肝

脂肪肝は、肝臓内にある肝細胞の1割以上に、中性脂肪の過度な貯蓄が見られる状態を言います。

脂肪肝の原因は、高脂肪食や高タンパク食の与えすぎ、運動不足、特定食材や薬物による中毒、内分泌疾患、糖尿病や高脂血症(高コレステロール血症)などの慢性疾患などから起こると言われています。

肝炎からの移行によって起こる場合もあります。

脂肪肝には自覚症状が現れる事がなく、脂肪肝そのものに害がある訳ではありませんが、肝硬変へ移行するリスクが生じる事から、慎重な経過観察が必要と言われています。

犬の肝硬変

肝硬変は、慢性肝炎や脂肪肝などの肝臓病が長い経緯をたどった末の病態(末期症状)で、肝細胞の炎症や壊死と、その再生が何度も繰り返し起こったために、肝臓内の組織で線維化(コラーゲン線維の蓄積)が進み、肝臓が硬くなり、小さく萎縮してくる病気です。

肝硬変が進行してくると、肝臓へと流れ込む静脈(門脈)にも圧力がかかるようになるため、門脈圧亢進、食道静脈瘤、胃静脈瘤、脾腫、脾機能亢進症、腹水、胸水、肝性脳症などの様々な合併症を引き起こし、生命維持に甚大な影響を及ぼす事になります。

肝硬変が重症化すると、肝臓ガンを合併する事も多く、肝不全(肝臓の機能不全)による死亡リスクを高める事になります。

犬の肝臓ガン

肝臓ガンは、肝臓そのものに発生した腫瘍(原発性肝臓ガン)の他にも、他の部位に発生した腫瘍の転移によって引き起こされる場合(転移性肝臓ガン)もあります。

原発性肝臓ガンは、肝細胞ガンと胆管ガン(胆管細胞ガン)に区分されています。

原発性肝臓ガンの原因の多くは、肝硬変からの移行によって発症する事が多いと言われています。

犬の肝臓病(肝疾患)の症状

犬の肝臓病は、初期の頃には自覚症状がほとんど現れない事から、犬に何らかの症状が現れた段階では、既に病状がひどく進行していると言われています。

犬の肝臓病が進行してくると、体内の解毒機能が低下してくる事から、吐き気や嘔吐が起こりやすくなります。

そして、食欲が低下してきたり、栄養分の分解やエネルギーの合成といった代謝が正常に行えなくなるため、体重の減少なども見られるようになります。

肝機能の低下によって血中のアンモニア濃度が高くなってくると、脳内へ流れ込む血液にも毒素が多く含まれるようになるため、肝性脳症を起こして、呼びかけに対しての反応が鈍くなったり、元気をなくしたようになったり、攻撃的になるなどの異常行動が見られるようになる事があります。

また、体内に老廃物や毒素が多く溜まるようになると、腎臓にも負担をかけてしまうため、腎臓疾患(腎不全)を併発してしまう場合もあります。

自発的な出血も起こりやすくなるため、歯茎、胃、腸、尿管から出血が起こったり、尿や便、吐瀉物(嘔吐物)に血が混じる事もあります。

肝臓病がひどく進行してくると、肝臓病特有の症状である黄疸が現れ、白目、歯茎、皮膚が黄色く見えるようになり、尿の色も濃い黄色になります。

犬の肝臓病(肝疾患)の検査

犬の肝臓の異常の有無は、血液検査の数値によって調べる事ができます。

ALPは、リン酸化合物を分解する酵素の事で、肝臓や胆道(または骨)に障害がある場合には、肝臓内の胆管から胆汁中へと多く流れ出し、十二指腸を経て血液中に増加してくるようになります。

ALT(GPT)は、犬や猫が肝臓内でアミノ酸を合成する時に働く酵素で、肝臓の炎症や障害などのダメージがある場合には、血液中に漏れ出してくるため、血液中に多く存在するようになります。

AST(GOT)も、肝臓内のアミノ酸の代謝に関与している酵素で、肝臓の組織に障害があると、細胞外へと漏れ出して、血液中での濃度が通常よりも高くなっていきます。

また、レントゲン検査、エコー検査、CTスキャン検査、肝生検(針生検)なども行われる場合があります。

犬の肝臓病(肝疾患)の治療

犬の肝臓病の治療は、症状が軽い場合には、肝臓に負担を与えない、低タンパクで高カロリーの食事を与える事や、症状に応じた薬剤や漢方薬の投与によって、回復に至る場合もあります。

何らかの病気の治療において使用している薬剤が、肝臓の負担になっている場合には、その薬剤の分量を減らしたり、投薬を中止する事によって改善してくる場合もあります。

肝硬変によって、肝臓内の組織の線維化が進んでいる場合であっても、完全な組織の回復には至らなくとも、コラーゲン線維が少しずつ細くなっていき、肝臓内の血流が改善されいくケースも確認されています。

肝臓は、再生が可能な臓器ですので、適切な処置を行い、正常な肝細胞が増えてくれば、肝機能を元に戻る事も期待ができると言われています。

その最も重要な事は、食事や薬剤の管理によって、肝臓に負担を与えない事と言われています。

また、感染予防に注意する事も大切です。

犬の肝臓病は、ひどい状態になってからでは、治療に時間がかかったり、症状の回復が難しくなる場合がありますので、重い症状を見せる前から、定期健診を受けておく事が大切になります。

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