猫の尿毒症の症状、原因、治療について



猫の尿毒症は、腎臓機能の低下によって、本来であれば体外へと排出されるはずの窒素代謝物(尿素窒素:BUN、尿酸:UA、クレアチニン:CREなどの老廃物)が、血液やリンパ液、組織液などの体液中に多く残ったままになる体液異常を起こしていたり、それによって引き起こされる症候群の事です。

腎臓には、老廃物を排出する働きの他にも、水や電解質のバランスを保ったり、ホルモンの分泌量をコントロールする働きなどもありますが、尿毒症は、腎不全がかなり進行した末期症状に見られる状態で、それらの機能のほとんどが失われている大変危険な症状と言えます。

猫の尿毒症の症状

猫が尿毒症になると、疲れやすくなったり、元気がなくなるようになり、食欲も著しく低下くるようになります。

そして、体液や電解質の異常、血液の異常、骨代謝の異常、免疫系の異常、皮膚や粘膜の異常、代謝系の異常、神経系や血管系の異常、内分泌系の異常といった様々な病変を引き起こすようになります。

体液・電解質の異常

尿毒症によって体液中のナトリウム(Na)やクロール(Cl)の増加が起こると、体内の水分量の増加を招く事になります。

そのため、高血圧、むくみ、心不全を引き起こすようになります。

また、カリウム(K)の増加が起こると、不整脈を引き起こし、カルシウム(Ca)やリン(P)の増加が起こると、動脈硬化を促進したり、骨の代謝異常である腎性骨異栄養症を引き起こすようになります。

血液の異常

腎不全によって腎臓の機能が低下してくると、腎臓で作られている造血ホルモンであるエリスロポエチン(EPO)の生産量が低下してくるようになります。

エリスロポエチン(EPO)が欠乏してくると、骨髄で赤血球を生産する働きが低下してくるため、貧血が起こるようになります。

貧血の状態が長く続くと、心臓に負担がかかるようになるため、心不全の原因になったり、他の内臓にも負担がかかり、内臓出血も起こりやすくなります。

骨代謝の異常

尿毒症によるリンの排泄障害は、高リン血症を引き起こすようになります。

高リン血症になると、血液中のリン(P)とカルシウム(Ca)が結合して、動脈内で石灰化して溜まるようになるため、心筋梗塞や脳梗塞が起こりやすくなります。

そして、血液やリンパの循環が阻害される原因にもなり、臓器や組織に障害が起こりやすくなります。

また、腎臓の機能低下によって、ビタミンDの活性障害が起こり、腸からカルシウム(Ca)を吸収したり、腎臓でカルシウム(Ca)を再吸収する働きも低下して、低カルシウム血症が起こるようになります。

その結果、腎性骨異栄養症を発症して、骨の変形や骨折が起こりやすくなり、骨格や関節の痛みが生じやすくなります。

血中カルシウム濃度がかなり低くなってくると、筋肉や腸管のけいれん、心筋の収縮力の低下、不整脈、心不全などが起こりやすくなります。

免疫系の異常

腎不全の末期症状である尿毒症は、深刻な体液異常により、ほぼ免疫不全の状態に陥っているため、弱毒性の細菌やウイルスにも感染しやすくなります。

そして、感染後の難治性も伴うようになります。

また、ワクチン接種などによる免疫獲得率もひどく低下するようになります。

皮膚・粘膜の異常

尿毒症になれると、体内に窒素代謝物などの毒素が多く残存した状態になり、それらを尿中から体外へと排出する事ができなくなるため、唾液や汗腺分泌物などの体液中にも高濃度に存在するようになります。

そのため、毛穴から出る分泌物にも毒素が多く混じって排出されるようになるため、皮膚の痒みが起こりやすくなります。

また、口腔内からもアンモニア臭がするようになったり、唾液中の毒素が口腔内に拡散されて、口内炎、舌炎、歯肉炎などの口腔粘膜の炎症も起こりやすくなります。

口内炎などの口腔内の炎症がひどくなると、口の中の痛みがひどくなるため、たとえお腹が空いていても、ご飯を食べようとしなくなります。

代謝系の異常

尿毒症になると、体液異常によって、耐糖能異常やインスリン分解機能の低下が起こるため、高インスリン血症が起こるようになります。

また、アミノ酸代謝異常、代謝性アシドーシス(酸血症)、窒素代謝物の蓄積などから、体内のタンパク質の分解が過度に促されるようになり、栄養不足やカロリー不足に陥りやすく、皮膚や筋肉の萎縮なども起こりやすくなります。

神経系・血管系・内分泌系の異常

尿毒症によって体内に尿毒性物質が高濃度に蓄積されてくると、脳機能を含む中枢神経障害や、血管系障害なども引き起こすようになります。

また、甲状腺ホルモンの過剰分泌、性ホルモンの分泌低下などの分泌障害なども見られるようになります。

猫の尿毒症の原因

猫の尿毒症は、細菌や真菌、ウイルスなどの病原体の感染による急性糸球体腎炎や、慢性腎不全の末期症状や急性腎不全など、重い腎臓病を発症する事によって、腎臓で汚れた血液をろ過して、体内の老廃物や代謝産物、余分な塩分などを尿中から排出する働きが低下するため、それらの毒素(尿毒症性毒素)が体外へと排出されないまま、血中に多く溜まる事によって起こります。

また、体内で常に作られている酸性物質も体外へ排出できなくなるため、血液の酸性度が高くなるアシドーシス(酸血症)と呼ばれる状態になります。

副腎皮質ステロイド剤などの薬剤によって腎臓に負担がかかった事や、高タンパク食の多食による腎臓への負担の蓄積が影響したり、低血圧や脱水、心不全などの循環器系の問題から、腎臓への血流が低下して、尿毒症の原因となる場合もあります。

猫の尿毒症の治療

一度機能を失ってしまった腎臓は、元に戻る事はないため、猫の尿毒症の治療は、さらに深刻な状態へと進展しないように対処する事や、進行を少しでも遅らせる処置が行われる事となります。

ひどい嘔吐がなければ、活性炭を含む内服薬の投与が行われ、腸管内の毒素を吸着させて、便とともに排出を促す処置が取られます。

また、体内の窒素化合物などの毒素を、自然に排出する働きを高めるためや、体内で不足している水分や電解質の補給を行うために、輸液(点滴)治療が行われたり、血液量の増加を図るために、輸血が行われる場合もあります。

尿を十分に排出する事ができない場合には、利尿剤を投与して、排尿を促す場合もあります。

人工的に血液をろ過して、毒素を除去する人工透析治療(腹膜透析、血液透析)が行われる場合もあります。

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