猫の肉球皮膚炎(プラズマ細胞性足底皮膚炎、形質細胞性足底皮膚炎、形質細胞性皮膚炎、形質細胞腫)



猫の肉球がパンパン腫れ上がり、むくんだような状態になっていたり、内出血を起こして変色していたり、肉球の一部が裂けて潰瘍ができている場合には、免疫異常による肉球皮膚炎の可能性があります。

猫の肉球皮膚炎

猫の肉球皮膚炎は、猫の足裏の肉球が腫れて膨らんだ状態になる病気です。

体質や体調の変化によって、自然に肉球の腫れが引いて縮んでいき、徐々に治まっていく場合もありますが、肉球に傷や裂け目ができ、潰瘍ができるようになると、なかなか傷が塞がらなくなり、治りにくくなってしまいます。

肉球に傷や裂け目などの外傷ができていなくても、歩く度に肉球が圧迫されて内出血を起こしたり、肉球の一部が変色したように見える場合もあります。

猫の年齢、性別、品種によっても、発症傾向に偏りはなく、犬においては発症する事がほとんど無いと言われています。

猫の肉球皮膚炎の原因

猫の肉球皮膚炎は、形質細胞の異常な増殖によって引き起こされる事が知られています。

そのため、形質細胞腫と呼ばれる場合もあります。

形質細胞は、英語ではプラズマ細胞(plasma cell)と呼ばれており、免疫細胞(白血球)のリンパ球の一種で、B細胞が分化(複雑化、異質化)した細胞です。

B細胞は、体内に細菌やウイルスなどの病原体が侵入すると、それらを無力化させる抗体を作り出す役割を持つ形質細胞へと変わり、周囲の組織にも炎症反応を起こして、血管を拡張させる事で血流を促し、免疫機能の活性化を図るようになります。

そのような性質から、形質細胞は炎症細胞とも呼ばれています。

形質細胞は、アレルギーの発症とも密接に関係しており、体内でアレルギーを引き起こすIgE抗体を作り出す働きがあり、IgE抗体が過剰に生産されるようになると、アレルギー性の鼻炎、気管支炎、皮膚炎、胃腸炎などを引き起こすようになります。

全身性のアレルギー反応であるアナフィラキシーショックの発生にも、IgE抗体が関与して起こる場合があります。

肉球皮膚炎の猫は、血液検査をすると高グロブリン血症が認められ、形質細胞や免疫グロブリン(抗体)の数値が通常よりも高濃度になっており、何らかの体内の免疫異常やアレルギーが関与していると考えられています。

また、アメリカの症例研究によると、肉球皮膚炎の猫の50%(別の研究では80%)は、猫エイズウイルスに陽性だったため、免疫不全を引き起こすウイルス性の病気との因果関係がある事も示唆されています。

猫の肉球皮膚炎の症状

猫の肉球皮膚炎は、初期のうちは、肉球の腫れは軽く、弾力があり柔らかいため、猫が違和感を感じる事もなく、普通に生活している事も多く見られます。

そのため、飼い主が猫の肉球の異変に気がつかない事も多く見られます。

そのような肉球の腫れは、次第に治まってくる場合もありますが、少しずつ腫れが大きくなっていく場合もあります。

そして、肉球がパンパンに腫れて大きく膨らんだ状態になると、肉球の内圧が高くなってきたり、スポンジのような弾力のない状態になり、ブヨブヨした柔らかさになる場合もあります。

肉球表面の皮がめくれて、カサカサした状態になる場合もあります。

肉球皮膚炎は、肉球の痛みや痒みはほとんど生じないと言われていますが、猫は歩きにくくなったり、肉球の腫れに違和感を感じて、しきりに舐めて気にするようになります。

そして、次第に肉球表面の角質層に傷ができたり、裂け目が生じると、肉球内の組織が飛び出して破裂したような状態になり、出血を伴う潰瘍ができるようになります。

細菌による二次感染が起こると、膿を含んだ浸出液が出てくるようになる場合があります。

そのように、肉球の皮膚が裂けて傷ができると、猫が足を引きずるようにして歩くようになったり、肉球を痛がって動かずにじっとしている事も多くなります。

猫の肉球皮膚炎の治療

猫の肉球皮膚炎は、徐々に治まっていく場合もあるため、症状が軽い場合は特別な治療は行わず、経過観察をしながら様子を見る事を薦められる場合があります。

肉球の腫れがひどい場合には、ステロイド剤などのアレルギー薬の投与が行われます。

細菌による二次感染が生じていたり、それを予防するために、抗生物質の投与が行われる場合もあります。

肉球に深い傷ができていたり、潰瘍ができている場合には、肉球の局所的な洗浄後、縫合が行われたり、外科手術が必要になる場合もあります。

肉球に傷ができてしまった場合には、治療中は、傷口を舐めさせないように、猫にエリザベスカラーを着けさせる必要があります。

猫の肉球皮膚炎の予防

猫の肉球皮膚炎の有効な予防方法はありませんが、猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスなどのウイルス感染症が関与して、肉球皮膚炎の発症に至る可能性もあるため、外出する習慣のある猫は、そのようなウイルス感染症にかからないように、完全な室内飼育に切り替える方が好ましいとされています。

また、普段から猫の体を清潔に保つよう心がけたり、身の周りの生活環境も衛生的に保つ事で、アレルギーなどの免疫異常が起こらないように努める事も大切です。

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