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犬の乳腺腫瘍(犬の乳がん)の原因、症状、検査、治療、予防



犬のお腹にある乳腺のいずれかに、腫れやしこりが見られたり、出血や分泌物が確認できた場合には、犬が乳腺腫瘍を発症している可能性があります。

犬の乳腺腫瘍は、詳しい検査を受けない限りは、それが良性腫瘍か悪性腫瘍かを判別する事が難しいと言われています。

犬の乳腺腫瘍

犬の乳腺腫瘍とは、乳腺にできる腫瘍の事です。

腫瘍には、良性腫瘍と悪性腫瘍があります。

犬の乳腺腫瘍のうち、50%は良性腫瘍で、50%は悪性腫瘍と、良性腫瘍と悪性腫瘍の割合はほぼ半々で、その腫瘍の中に良性と悪性が混在する場合もあります。

良性腫瘍は、細胞分裂の制御を失った腫瘍細胞が、無秩序に増殖を続けながらも、他の組織には転移する事がなく、その腫瘍が発生した場所でのみ増殖を続ける、細胞の固まりです。

血管の損傷などから栄養供給が絶たれると、増殖が自然に停止する性質を持っています。

悪性腫瘍は、無秩序に増殖を続ける細胞の固まりが、周囲の組織をも破壊しながら広がったり、他の組織へ転移した後も、どんどん増殖を続けてしまう腫瘍細胞の集まりです。

血液やリンパの流れに乗ると、全身へと広がる性質を持っており、やがては生命の危険を招く事にもなります。

一般的に癌(がん)と呼ばれているものは、この悪性腫瘍を指すと言われています。

オスの犬は、精巣で分泌する性ホルモンの影響で、乳腺の発育が行われないため、乳腺腫瘍になる事がほとんどなく、メスの犬に多く見られる病気と言われています。

メスの犬がかかる腫瘍の中では、最も罹患率が高く、8歳をすぎると、発症する割合が高まると言われています。

犬の乳腺腫瘍の原因

犬の乳腺腫瘍の原因は、死滅する機能を失った細胞のDNAの変異(突然変異)が連鎖的に生じるためとされていますが、そのメカニズムには、遺伝、ウイルス、化学物質、免疫機能、体温、食事、ストレス等、様々な事が影響して発生すると言われています。

中でも、避妊手術を受けていない高齢のメスの犬に多く見られる事から、性ホルモンの影響が大きいものと考えられています。

避妊手術を受けた犬は、卵巣摘出によって、体内で性ホルモンの分泌量が少なくなるため、乳腺の発育が抑制されるようになり、乳腺腫瘍にかかりにくくなったり、再発しにくくなります。

しかし、メスの犬が未避妊であっても、必ず乳腺腫瘍になる訳ではなく、乳腺腫瘍を発症しないケースも多く見られます。

痩せている犬に比べて、太っている犬の方が乳腺腫瘍の発生割合が高い事から、犬の肥満は、乳腺腫瘍への一定の影響があると考えられています。

犬の乳腺腫瘍の症状

犬が乳腺腫瘍を発症すると、妊娠していないにも関わらず、乳腺が張ってきたり、乳腺にしこりが現れるようになります。

このような乳腺の張れやしこりは、偽妊娠や乳腺炎などから起こる場合もあります。

良性腫瘍の場合には、乳腺のしこりは1cm以下と小さく、時間が経っても大きくなっていく事はありません。

また、痛みが生じる事はほとんどありませんが、乳腺孔から出血が起きたり、膿を含んだ分泌物が出てくる場合があります。

悪性腫瘍の場合には、乳腺にできたしこりが少しずつ大きくなっていきます。

そして、皮膚表面の壊死や自壊(裂け目や傷の発生)が起こり、出血が起こったり、膿性分泌物が出てくるようになる場合があります。

また、悪性腫瘍の場合には、患部から腐敗臭が生じる場合があります。

2~3ヶ月のうちに急速に大きくなってくる場合もあれば、何年もかけて少しずつ大きくなっていく場合など、悪性腫瘍の進行は様々です。

悪性腫瘍の進行に伴い、肺や肝臓といった他の臓器へと転移する可能性が高まっていきます。

乳腺にできたしこりが良性腫瘍か悪性腫瘍かについては、検査をしないと明確には判別できませんが、触診した際に、乳腺のしこりが動く場合は良性である事が多く、動かない場合は悪性である事が多いと言われています。

犬の乳腺腫瘍の検査

犬の乳腺にできたしこりが良性腫瘍か悪性腫瘍かの判別は、注射針(吸引針)を使用して、乳腺内のしこりの細胞の一部を採取した上で、顕微鏡でその細胞内に癌細胞が含まれているかどうかの細胞診が行われます。

採取した細胞に癌細胞が確認できなかった場合には、より広範囲の組織を切除した上で、顕微鏡を使用した組織診が行われる場合があります。

それは、注射針を使用した細胞診では、たまたま癌細胞の無い場所の細胞を抜き取った可能性があるためで、細胞診だけでは確定診断とはならないためです。

組織診を行う前に、悪性腫瘍の疑いが高い場合には、検査と治療の2度の全身麻酔の負担を考慮して、悪性腫瘍の確定診断をしないまま、外科手術で乳腺組織の切除を行い、その切り取った組織から組織診を行い、確定診断を行う場合もあります。

レントゲン検査やCT検査で、病変部の検査が行われる場合もありますが、確認できた腫瘍が良性腫瘍か悪性腫瘍かの判別が難しい事や、全身麻酔が必要な事、治療費が高額に及ぶ事などから、そのような検査が行われない場合もあります。

犬の乳腺腫瘍の治療

犬の乳腺腫瘍の治療は、一般的には外科手術による癌細胞の切除が行われます。

それによって、癌細胞の全てを取り除ける場合もありますが、少量の癌細胞を取り残してしまう場合もあります。

手術の方法には、癌細胞が確認できている場所だけをピンポイントに切除する方法や、まだ癌細胞が発生していない周囲の健康な組織を含んだ、広い範囲の切除を方法がありますが、いずれの場合も全身麻酔が必要になります。

また、避妊手術を受けていない場合には、高い確率で再発が起こるため、乳腺の切除と同時に、子宮と卵巣の摘出も行われる場合があります。

そして、手術を行う事が難しい場所に癌細胞の転移が見つかった場合や、再発予防を目的に、放射線治療が行われる場合もあります。

犬は飼い主の表情や声などから、敏感に気持ちを察する事ができると言われています。

治療中に飼い主が悲しんだり、辛そうにしていると、犬も生きようとする意識が低下してしまいます。

そのため、今まで以上に笑顔で接するようにしたり、楽しそうな様子で声をかけるように注意しながら、スキンシップの時間を多く取るようにする事が、犬の免疫活性や自然治療力を高める事につながるとも言われています。

そして、無糖ヨーグルトや納豆などの発酵食品(プロバイオテクス)を積極的に与えたり、体の保温と安静にも努め、癌細胞に負けない免疫力の維持に努める事も大切です。

犬の体を優しくさすったり、軽い力でマッサージをする事は、全身の筋肉や神経が刺激を受け、自律神経のバランスを整えたり、血液やリンパの流れを促進する事にもなるため、免疫力や自然治癒力を高められる効果が期待できます。

また、ドッグフードに含まれる脂肪分の酸化や劣化は、発がん性を高める可能性がありますので、ドッグフードの成分や鮮度、保存方法にも十分注意する必要があります。

犬の乳腺腫瘍の予防

犬の乳腺腫瘍は、手術を受けた後も再発を起こす場合が多いと言われていますので、乳腺腫瘍の手術を受けた後も、乳腺の腫れやしこりの有無など、乳腺の周囲に異常が生じていないかどうかを、定期的に確認しておく必要があります。

まだ乳腺腫瘍を発症した事がない犬であっても、8歳を過ぎた犬や肥満傾向の犬は、スキンシップやお手入れの度に、乳腺の異常の有無について、注意深く観察しておく必要があります。

オスの犬であっても乳腺腫瘍を発症する事はありますので、普段から犬と接する度に、乳腺の腫れやしこりを見ておくようにして、早期発見、早期治療に努める事が大切です。

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