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犬のツメダニ症(ツメダニ皮膚炎、ケイレテイラ皮膚炎)



犬のツメダニ症

犬のツメダニ症は、イヌツメダニというダニの一種が、犬の皮膚に寄生する事によって起こる、寄生虫感染症です。

ツメダニ皮膚炎、または、ケイレテイラ皮膚炎と呼ばれる場合もあります。

イヌツメダニは、その名前の通り、大きな鉤爪(かぎづめ)を持っているツメダニの仲間で、体長0.4~0.6mm程の微細なダニです。

サイズがとても小さく、肉眼では点のようにしか見えませんが、虫眼鏡があれば、容易にそれがイヌツメダニかどうかの判断ができると言われています。

宿主である犬の皮膚に取り付くと、吸血する事はありませんが、皮膚にかぎ爪で傷を付け、染み出した体液を吸いながら生息を続けるようになります。

そして、メスは多くの卵を皮膚に産み付けながら、盛んに繁殖を行うようになります。

人間の皮膚にも寄生する場合があり、イヌツメダニに感染している犬を抱きしめたり、一緒に寝るなどして、イヌツメダニに刺されると、皮膚に赤い湿疹(ダニ刺咬性皮膚炎)が現れ、強い痒みを引き起こす場合があります。

また、直接の刺咬害が無い場合でも、イヌツメダニの糞、脱皮殻、死骸などのアレルギー物質が原因で、皮膚炎や気管支炎などのアレルギー疾患が起こる場合があります。

犬のツメダニ症の原因

犬のツメダニ症は、既にイヌツメダニに感染している犬との接触によって起こります。

ブラシや首輪などの道具を介してや、ノミやシラミ、ハエなどの大型の昆虫類を媒介してなど、間接的にうつる場合もあります。

また、猫に感染するネコツメダニや、うさぎに感染するウサギツメダニも、宿主特異性にそれほど大きな違いが無いため、猫やうさぎとの接触が原因となる場合もあります。

また、既に感染している犬から、猫やうさぎへとうつる可能性もあります。

犬のツメダニ症の症状

犬がツメダニ症にかかると、被毛の隙間に大量のフケが発生するようになります。

そのような大量のフケは、イヌツメダニの繁殖が進むとともに、耳、首、胸、脇、背中、お腹、股下、尻尾の付け根など、体中のいたるところで見られるようになります。

また、しきりに体を引っ掻くなどして痒がるようになったり、皮膚に炎症が起こり、赤みが生じるようになる事もあります。

犬が何度も掻き毟る事によって、脱毛やかさぶたなどの二次的な病変が現れる場合もあります。

中には、皮膚の痒みや赤みなどの症状が現れず、単にフケだけが大量に出るケースもあります。

犬のツメダニ症の治療

犬のツメダニ症の治療には、殺ダニ剤を使用した薬浴やシャンプーによる皮膚洗浄、薬剤を使用した薬物治療などが行われます。

塗り薬は、犬が舐め取ってしまう可能性がある事から、内服薬が多用されています。

イヌツメダニは、宿主の体から離れても、10日間程は生存する事ができると言われていますので、ツメダニ症の治療中は、こまめに室内を掃除機を使って掃除したり、犬が使用しているベッドやマットにも掃除機をかけたり、ダニ取りシートや布団乾燥機も使用するなどして、残ったダニの駆除に努める事も重要になります。

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犬の皮膚病と皮膚のかゆみについて



犬の皮膚について

犬の体は、全身が濃い体毛に覆われていますが、皮膚そのものは大変薄く、人間の皮膚に比べると5分の1から3分の1程度の厚さしかないと言われています。

そのため、外部からの刺激に対しては非常にデリケートで、軽微な痒みや痛みといった違和感が起こりやすく、舐めたり、噛んだり、引っ掻いたりしているうちに、次第に皮膚の炎症がひどくなり、皮膚病へと発展してしまう場合があります。

犬の皮膚病は、動物病院に訪れる犬の病気の種類の中では、最も多い疾病と言われています。

犬の皮膚病は、病原菌、寄生虫、アレルギー、ホルモン異常など、原因は様々で、またそれらの原因が複合的に関与しているケースもあります。

また、遺伝的な影響によって皮膚病が誘発される場合もあり、重症化するとなかなか治りにくくなってしまう場合もあります。

犬の皮膚病の原因

犬の皮膚病の原因には、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染、アレルギー、ホルモン異常などがあります。

1.細菌感染(黄色ブドウ球菌)

黄色ブドウ球菌などの皮膚の常在細菌が過剰に繁殖したために起こる、皮膚の細菌感染症です。

加齢や病気による免疫力の低下や、アレルギーの治療薬(免疫抑制剤)が引き金となる場合もあります。

2.真菌感染(マラセチア菌、白癬菌)

マラセチア菌や白癬菌などのカビ(真菌)の一種が、皮膚で過剰に繁殖したために起こる皮膚の真菌感染症です。

カビ(真菌)の栄養源である皮脂の分泌量が多い体質の犬に起こりやすい傾向にあります。

3.寄生虫感染(ノミ、ダニ)

ノミ、マダニといった大型の寄生虫や、ニキビダニ、ヒゼンダニといった肉眼では見る事のできない微細な寄生虫に感染したために起こる、皮膚の寄生虫感染症です。

皮膚の抵抗力の弱い子犬や老犬は、全身へと広がり重症化する場合があり、また、免疫力も脆弱なため、アレルギーを引き起こす場合もあります。

4.アレルギー(アトピー)

ホコリや花粉などの吸引、ドッグフードに含まれる特定の食材の摂取、草花や金属などのアレルギー物質への接触などから、免疫作用の過剰反応が起こる、難治性の皮膚炎です。

アトピー性皮膚炎は、遺伝的な影響から、皮膚が乾燥しやすく、また、アレルギーを起こしやすい体質によって引き起こされる、アレルギー性皮膚炎の一種と言われています。

細菌、真菌、寄生虫などの感染症からアレルギー反応が起こり、症状が複雑化しているケースもあります。

5.ホルモン異常(甲状腺疾患、副腎疾患)

甲状腺や副腎といったホルモンの分泌器官(内分泌腺)の異常によって、皮膚の萎縮、乾燥、脱毛などが起こる慢性皮膚炎です。

免疫力の低下とともに、皮膚の抵抗力が低下するため、病原菌、寄生虫、アレルギー物質など、外部の刺激に影響を受けやすくなります。

犬の皮膚病の症状

犬の皮膚病の症状には、痒みが伴う事が多いと言われています。

アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、疥癬(ヒゼンダニ症)などは、特に強い痒みが慢性的に生じる事が多く、夜中もぐっすりと眠れなくなり、元気が無くなったり、食欲が低下したり、イライラと怒りっぽくなる場合もあります。

細菌感染の場合には、湿疹やかさぶたに黄色い膿が見られる事が多く、真菌感染の場合には、フケが多くなったり、体臭が強くなる傾向があります。

犬は皮膚に不快な痒みが生じると、我慢できずに何度も舐めたり、噛んだり、引っ掻く事を繰り返すため、それによってますます皮膚が傷ついてしまい、どんどん悪化させてしまうという悪循環を招く事になります。

そのような皮膚の痒みは、皮膚が乾燥していたり、睡眠中などで皮膚が温まると、さらにひどくなる場合があります。

時には、皮膚の痒みや痛みなどの違和感が全く無いにも関わらず、緊張感や不安感などのストレスを紛らわそうとして、しきりに同じ所を舐め続けたり、引っ掻く事を繰り返し、それが皮膚炎へと進展する場合もあります。

そのようなストレスによる反復的な行動は、常同行動(常同障害)と呼ばれており、その常同行動によって何度も同じ所を舐め続ける事で生じた皮膚炎は、舐性皮膚炎と呼ばれています。

室内を散らかしたり、タオルを噛み千切ったり、室内を激しく走り回るなどして、ストレスを発散しようとする行動(転位行動)を注意され続けると、常同行動を起こしやすくなり、やがて皮膚炎を引き起こしてしまう場合があります。

犬の皮膚病の検査方法

犬の皮膚病の原因には、様々な要素が可能性として挙げられますが、その検査においては、犬の皮膚病の中では最も多いとされている、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染を最初に疑い、痒みのある皮膚の一部を採取して、顕微鏡で調べる検査が行われます。

細菌が見つかれば、細菌感染と断定され、真菌が見つかれば真菌感染と断定され、寄生虫が見つかれば、寄生虫感染と断定され、それぞれの原因に応じた治療方法が選択されます。

また、皮膚に異常が見られる病巣から採取した組織を元に、細菌や真菌を培養して、原因菌を特定したり、その病原菌に有効な抗生物質や抗真菌薬を見定める、細菌検査が行われる場合もあります。

視診で確認できる大型のノミやマダニの寄生が判明した場合には、駆虫薬などを使用して、その駆除が行われます。

アレルギー性の皮膚疾患の疑いがある場合には、採血を行い、血液中のIgE抗体の濃度を測定して、体内でアレルギー反応が生じているかどうかの検査が行われます。

そのような皮膚の病理検査や血液検査などからも、原因がはっきりしない場合や、治療を続けていても一向に治らない場合には、他の内臓疾患や腫瘍なども疑い、レントゲン検査(X線検査)やエコー検査(超音波検査)などの詳しい検査が行われる場合があります。

犬の皮膚病は、このような検査によって、いくつもの原因が複合的に見つかる場合もあります。

犬の皮膚病へのケア

人にもそれぞれの皮膚体質があるように、犬の皮膚体質もまた、いろいろな個体差があります。

生まれつきアトピーの素因を持っており、皮膚が弱く乾燥しやすい場合には、皮膚のバリア機能が通常よりも弱いため、皮膚の痒みが生じやすく、様々な病原菌やアレルギー物質へも過敏に反応しやすくなります。

また、シャンプーの頻度や溶液の使用量も、その犬によって様々ですので、一様にお手入れを行うのではなく、皮膚の状態などの経過を見ながら行う必要があります。

犬は皮膚病がきっかけとなり、外耳炎、角膜炎、指間炎、肛門腺炎などの他の病気を併発する事もありますので、愛犬が体を痒がる様子を頻繁に見せるかどうかは、気にしておく必要があります。

犬の皮脂は、多すぎても、少なすぎても問題があると言われており、過剰な皮脂は、真菌(カビ)などの繁殖を誘発して、痒みを引き起こす原因になり、皮脂の不足もまた、皮膚の乾燥を招き、痒みを誘発する原因になります。

そのため、犬が痒がる仕草などがないかどうか、日々確認をしながら、シャンプーの頻度を変更したり、馬油やココナッツオイルなど、口に含んでも問題の無い油分でスキンケアを行う事も必要な場合があります。

また、加齢とともに体質が変化して、今まで口にしていても問題の無かったドッグフードに対してアレルギー反応が起こるようになる場合もありますので、嘔吐や下痢(軟便)が多く見られるようになったり、食後、数分から数時間といった早いうちに、口の周りや皮膚を痒がる場合には、食物アレルギーを疑って、ドッグフードの種類を変更する事も必要な場合があります。

食物アレルギーは、アレルギー反応を引き起こす食材さえ摂取しなければ、症状そのものを無くす事ができると言われています。

犬はどうしても加齢とともに胃腸が弱くなってきたり、免疫力が低下してくるなど、体に不調は生じるものですが、腸は免疫機能の中枢とも言われており、全身の免疫細胞の70~80%は腸に集中していると言われていますので、無糖ヨーグルトや納豆などの発酵食品を与えて、腸内環境を整える事も、体質改善に有効な場合があります。

そして、ホコリやダニ、細菌やカビ(真菌)などを極力寄せ付けないためにも、愛犬の体や身の周りの生活環境は、いつも清潔な状態に保つように努める事も大切です。

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犬の膿皮症(のうひしょう)の種類、原因、症状、検査、治療について



膿皮症(のうひしょう)とは、皮膚の細菌感染によって起こる、化膿性の病変の事です。

犬の膿皮症

犬の膿皮症は、黄色ブドウ球菌などの細菌が皮下へと入り込み、表皮や真皮、皮下組織といった皮膚の組織に、膿を伴う化膿性の病巣が現れるようになる皮膚病です。

皮膚の表面には、このような細菌やウイルスが1兆にも達する程、無数に存在していると言われていますが、様々な病原体同士が均衡を保つ働きや、皮膚の自浄作用や免疫細胞の働きなどによって、細菌が過剰に繁殖しすぎる事もなく、皮下への進入も防がれています。

しかし、皮膚の傷、免疫力の低下、老化などから、細菌の進入を抑える力が弱まると、皮膚の赤みや湿疹などの病巣が現れ、皮膚炎を発症する事になります。

犬の膿皮症の種類

犬の膿皮症には、皮下への細菌感染の進行度合いによって、表面性膿皮症(膿痂疹)、表在性膿皮症(浅在性膿皮症)、深在性膿皮症の3種類に大別されています。

表面性膿皮症(膿痂疹)

表面性膿皮症は、皮膚の最も外側にある表皮のみに細菌感染が起こっている状態です。

病変部の皮膚には、膿を含んだニキビのような湿疹(丘疹)が現れるようになります。

そのような化膿性の湿疹は、膿痂疹(のうかしん)と呼ばれる場合があります。

病変部の皮膚からは痒みや違和感が生じるようになるため、犬は舐めたり、引っ掻いたりして病変部を気にするようになります。

表在性膿皮症(浅在性膿皮症)

表在性膿皮症は、表面性膿皮症に比べると細菌感染の病巣がより深く、毛穴の中の毛包部や、その周囲の表皮や真皮の一部にも感染が及んでいる状態です。

また、浅在性膿皮症と呼ばれる場合もあり、毛穴単位の症状からは、毛包炎、毛嚢炎、汗腺炎などと呼ばれる場合もあります。

表在性膿皮症になると、皮膚が赤くなったり、ニキビのような湿疹がはじけた丸い跡がみられるようになります。

毛包(毛嚢)の炎症によって毛根が傷つく事で、被毛が抜け落ちるようにもなります。

病変部からは強い痒みが生じるようになるため、犬はしきりに痒がる仕草を見せるようになります。

深在性膿皮症

深在性膿皮症は、細菌感染の病巣が表在性膿皮症よりもさらに深部に及んでおり、真皮や皮下組織にも感染が広がっている状態です。

毛穴の毛包部が全体的に炎症を起こしていたり、皮膚の深い部分にも細菌感染が及んでいるため、病変部が大きく腫れ上がったり、熱を持つようになる事もあります。

病変部の広がりとともに痒みもひどくなるため、掻き傷やカサブタが見られる事も多くなりますが、腫れや炎症がひどく、痛みを伴うようになっている場合もあります。

犬の膿皮症の原因

犬の皮膚は、人間の皮膚に比べると5分の1から3分の1程度の厚さしかありませんので、外部からの様々な刺激に影響を受けやすいと言われています。

また、犬は皮膚に違和感が生じると、しきりに舐めたり、引っ掻くなどして傷つけてしまうため、ほんの些細な原因からも、皮膚病にかかる事があると言われています。

その犬の皮膚病の中でも代表的な膿皮症は、環境衛生、皮膚のバリア機能、免疫機能、ドッグフードなどの問題から、起こりやすくなる場合があります。

環境衛生

膿皮症は、犬の生活環境が不衛生であったり、体に汚れが溜まっているなどして不潔になっていると、皮膚の細菌が繁殖しやすくなるため、細菌による感染症が起こりやすくなります。

また、梅雨から夏からにかけた、じめじめと蒸し暑くなる季節は、細菌が活発に繁殖しやすくなるため、一年のうちでは最も膿皮症にかかりやすくなると言われています。

そのような高温多湿な気候になると、カビの仲間である真菌類や、ノミやダニなどの寄生虫も活発に活動するようになるため、それらの感染症の二次感染からも、膿皮症が起こる場合があります。

皮膚のバリア機能

膿皮症は、皮膚の乾燥、新陳代謝の低下など、皮膚の老化によってバリア機能が低下する事によって起こりやすくなります。

皮脂腺から分泌する皮脂は、皮膚表面に皮脂膜を形成して、細菌が皮下へ進入するのを防ぐ働きがありますが、皮脂を分泌する働きが加齢や慢性疾患などの影響で弱まったり、シャンプーのやりすぎなどから皮脂が極端に失われてしまうと、皮膚が乾燥しやすくなり、バリア機能が低下する事があります。

また、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患や皮膚の乾燥体質、他の真菌(カビ)や寄生虫の感染症の影響から、皮膚のバリア機能が弱くなっているために、細菌への抵抗力が弱まり、膿皮症が誘発される場合もあります。

免疫機能

膿皮症は、糖尿病、肝臓病、腎臓病、内分泌疾患など、何らかの基礎疾患によって免疫力の低下が起こっていると、細菌感染が起こりやすくなるため、膿皮症を発症しやすくなります。

ステロイド剤や免疫抑制剤などのアレルギーの治療薬を服用しているために、免疫力が弱まっていたり、皮膚の萎縮や硬化が起こっているために、細菌への抵抗力が低下して、膿皮症にかかりやすくなる場合もあります。

加齢、ストレス、肥満、冷えなどが、免疫力の低下の原因になる事もあります。

ドッグフード

膿皮症は、ドッグフードに含まれている脂肪分の質や鮮度が原因となって誘発される場合があります。

皮膚には、水分の蒸発を防いだり、細菌などの外部の刺激から役割がありますが、水分の蒸発を防ぐ働きは、皮脂腺から分泌する皮脂膜や、レンガのような皮膚の細胞の隙間を埋めている細胞間脂質によって行われています。

細胞間脂質は、セラミド、コレステロール、遊離脂肪酸などで構成されていますが、遊離脂肪酸の種類には、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸があり、オメガ3脂肪酸はアレルギー、炎症、血栓を抑制する働きがあり、オメガ6脂肪酸は、アレルギー、炎症、血栓を促進する働きがあり、まったく逆の働きをする事が知られています。

ドッグフードの多くは、植物由来のオメガ6脂肪酸が使用されている事や、脂肪分の酸化によって皮膚炎が起こりやすい場合があり、オメガ6脂肪酸の少ないドッグフードを与えたり、青魚などから取れるオメガ3脂肪酸を積極的に与える事で、皮膚炎の改善が見られたケースもあると言われています。

犬の膿皮症の症状

犬が膿皮症を発症すると、膿皮症特有の黄色い膿を含んだ湿疹(丘疹)が、いくつも現れるようになります。

これは、膿皮症の原因菌である黄色ブドウ球菌が、黄色い色素を出す性質を持っているためです。

犬が病変部を舐めたり、引っ掻いたりする事で、その湿疹が潰れると、中から黄色い膿が出てきて、カサブタ状に固まっているのを確認できる事もあります。

症状が軽い場合には、自然に治っていく場合もありますが、細菌感染が少しずつ皮下へと進行してくると、皮膚が赤く腫れたり、毛根が傷ついて被毛が抜け落ちるようになり、皮膚の痒みも徐々に強くなっていきます。

痒みがひどくなるにつれて、犬はしきりに舐めたり、引っ掻いたりして痒がる事が多くなり、ますます病変部が傷ついていきます。

しつこく舐め続けて角質層が破れたり、引っ掻き傷ができると、傷口から出血が見られたり、膿を含んだ浸出液が出てくるようになる場合があります。

細菌感染が、真皮や皮下組織などの皮膚の深い所にまで及ぶと、傷がじゅくじゅくしたまま治りにくくなったり、患部が大きく腫れ上がったり、熱を持つようになる事もあります。

病変は、顔、脇、お腹、股下、尻尾の周囲など、全身の様々な箇所に生じる可能性があり、全身性の広い範囲に及んでしまう場合もあります。

フレンチブルドッグやパグなど、顔にシワの多い犬種は、そのシワの間で細菌が繁殖しやすくなるため、顔にも病変が発生しやすい傾向にあります。

セッターやコッカースパニエルなど、上唇が下唇をおおっている犬種は、その間で細菌が繁殖しやすくなるため、下唇に病変が発生しやすい傾向にあります。

犬の膿皮症の検査

犬の膿皮症の検査は、病変部の皮膚やカサブタなどを採取して、顕微鏡で細菌の有無やその種類を検査をする事で、真菌性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ニキビダニ症などのよく似た症状の皮膚病との識別が行われます。

効果的な抗生物質を選択するために、細菌培養検査や抗生剤の感受性検査を行い、どの抗生剤が効果があるかの検査も行われる場合があります。

犬の膿皮症の治療

犬の膿皮症の治療は、病変部を薬用シャンプーで洗浄したり、薬浴による全身洗浄が行われます。

症状が軽い場合には、このような洗浄を何度か繰り返すうちに、少しずつ快方へと向かう場合があります。

皮膚の炎症がひどい場合や、咬み傷や引っ掻き傷がいくつもある場合には、そのような皮膚洗浄が、かえって皮膚を傷めてしまう事があり、刺激の少ない消毒薬だけが使用される場合もあります。

そして、抗生物質を使用した薬物治療が中心になります。

薬剤の投与は、痒み止め薬も併用して行われる場合もあります。

アトピーやアレルギーなどの他の皮膚炎、ノミやダニなどの寄生虫感染、ホルモン分泌疾患などを併発している場合には、そのままでは治療効果が上がらないため、その治療も同時に行われます。

膿皮症の病変が長期的に治らない場合や、再発を繰り返している場合には、抗生物質に対する耐性菌の発生や、他の病因の可能性を疑い、血液検査や皮膚病理検査などの詳しい検査が行われる場合があります。

また、ドッグフードの見直し、オメガ3脂肪酸の補充、保湿や保油などのスキンケア、生活環境の衛生管理なども必要になる場合があります。

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犬の肛門の病気、肛門周囲腺炎と肛門周囲腺腫について



犬が肛門を痒がったり、痛がるなどして、違和感を感じてしきりに気にする場合や、普段とは排便の様子が違うと感じた場合には、肛門周囲腺炎肛門周囲腺腫など、肛門の周囲に何らかの異常が生じている可能性があります。

犬の肛門周囲腺炎

犬の肛門周囲腺炎は、犬の肛門の周囲にある肛門周囲腺と呼ばれる分泌腺に炎症が起こる病気です。

肛門周囲腺は、肛門の左右にある肛門嚢(肛門腺)の開口部(出口)の周囲に点在している分泌腺で、尻尾の付け根付近や太腿、包皮などにも存在しています。

このような肛門嚢の開口部の周囲にある分泌腺は、猫には存在していない特殊な分泌腺です。

炎症がひどくなると、腫瘍化して病変部が大きく腫れ上がったり、シコリやコブが発生する場合があり、病変部の肥大化がひどくなると、破れたり、出血を起こす場合があります。

犬の肛門周囲腺炎の原因

犬の肛門周囲腺炎は、排便の汚れや細菌感染などから引き起こされるものですが、肛門周囲の血行不良、免疫力の低下、ストレスなども関係していると言われています。

胃腸が弱く、下痢や軟便を繰り返していたり、股下の被毛が長く通気性が悪い場合には、肛門の周囲に汚れが溜まりやすく、雑菌が繁殖しやすくなるために、このような分泌腺の炎症が起こりやすくなります。

高齢になると、肛門括約筋などの肛門の周囲の筋肉がやせ衰えてくるために、腹圧がかかった際に腸を支えきれず、肛門の外側へと抜けてしまう事で、肛門脱や直腸脱、結腸脱などが起こりやすくなりますが、その影響で、肛門周囲腺炎や肛門嚢炎(肛門腺炎)を併発してしまう場合もあります。

遺伝や体質などの影響で、肛門周囲腺の分泌腺の働きが活発で、分泌物の出る量が多いために、肛門周囲腺炎にかかりやすくなる場合もあります。

犬の肛門周囲腺炎の症状

犬の肛門周囲腺炎は、炎症が生じた箇所に痒みや痛みなどの違和感が生じる事が多く、犬が肛門の周囲を繰り返し舐める仕草を見せるようになったり、お尻を床にこすり付けるようになる場合もあります。

患部の腫れや炎症がひどくなってくると、出血を伴ったり、膿を含んだ浸出液が出てくるようになる事もあります。

病変部の腫れがひどくなると、肛門を圧迫してしまい、スムーズな排便ができなくなるため、粗相をするようになったり、トイレを失敗してしまう場合があります。

また、悪化して痛みがひどくなってくると、排便しようとした際に、痛みで鳴くようになったり、排便を我慢したり、途中でやめてしまうようにもなります。

肛門周囲腺炎が治らないまま悪化してくると、細菌感染がどんどん広がってきて、肛門嚢炎(肛門腺炎)を併発したり、瘻管と呼ばれる穴が開いてしまう肛門周囲瘻を発症したり、肛門周囲腺にシコリやコブのような塊(腫瘍)ができる肛門周囲腺腫を発症する場合もあります。

犬の肛門周囲腺炎の治療

犬の肛門周囲腺炎は、早い段階で治療を受ければ、抗生物質の投与による内科治療で、スムーズに完治させる事ができます。

しかし、細菌感染が周囲の組織にも広がっていたり、化膿やただれなどの病状がひどい場合には、手術が必要になる場合があります。

犬の肛門周囲腺炎の予防

犬の肛門周囲腺炎は、主に排便の汚れや細菌感染によって引き起こされるものですので、普段から肛門の周囲や、股下や尻尾の周囲なども清潔に保っておく必要があります。

また、肛門嚢液(肛門腺液)が溜まっていると、周囲の分泌腺にも炎症が起こりやすくなりますので、定期的に肛門嚢絞り(肛門腺絞り)を行っておく事も大切です。

股下や肛門の周囲の被毛が長い犬種は、通気性が悪く汚れも溜まりやすくなりますので、股下や肛門の周囲の被毛は、予め短くカットしておく事も、肛門周囲腺炎の予防につながります。



犬の肛門周囲腺腫

犬の肛門周囲腺腫は、犬に発生する腫瘍の中では、乳腺腫瘍と肥満細胞腫に次いで多く見られる腫瘍で、良性と悪性の場合があります。

良性の場合は、シコリやコブなどの腫瘍を切除する事によって完治しやすいですが、悪性の場合は、腫瘍を切除しても、他の場所に転移している場合には、完治が難しい場合があります。

また、良性から悪性へと変化する場合もあるため、いずれの場合も早期発見、早期治療が重要になります。

良性腫瘍が悪性へと変化しない場合でも、放っておくと排便の汚れや細菌感染によって化膿したり、腫れがひどくなり、大きく肥大化したシコリやコブが肛門を塞いでしまうと、正常な排泄ができなくなる場合があります。

犬の肛門周囲腺腫の原因

犬の肛門周囲腺腫は、8才以上の去勢していないオスの犬が多く発症する事から、性ホルモンの影響によって引き起こされると言われています。

未去勢のオスの犬は、肛門周囲腺が生涯に渡って発育し続ける事が知られており、傷や炎症などの病変が生じていなくても、盛り上がったような状態になる場合があります。

肛門周囲腺炎の化膿やただれがひどくなり、病変部が腫瘍化して、肛門周囲腺腫を発症する場合もあります。

犬の肛門周囲腺腫の症状

犬が肛門周囲腺腫は、肛門の周囲にシコリやコブなどの腫瘍が発生する特徴があります。

また、そのようなシコリやコブは、尻尾の付け根や包皮にも発生する場合があります。

犬が痛みや熱感などの違和感を感じて何度も舐めたり、犬がしゃがんだ際に床に擦れて破れると、肛門の周囲から出血が見られたり、膿を含んだ浸出液が出てくる場合があります。

肛門の周囲から、強い悪臭が生じるようになる場合もあります。

そして、肛門の周囲の痛みがひどくなってくると、便を出しづらくなるため、排便するのを嫌がって我慢するようになったり、排便中に鳴いて痛がるようになる事もあります。

そして、排便に血が混じるようになったり、今までの排便時間に比べると、かなり時間がかかるようになる事も多く見られます。

犬の肛門周囲腺腫の治療

肛門周囲腺腫は、全身麻酔による外科手術による腫瘍の摘出が必要になります。

また、未去勢の場合には、再発する可能性が高いため、去勢手術も同時に行う場合があります。

腫瘍が良性の場合には、病変部にあるシコリやコブなどの腫瘍を切除する事で完治に至る事が多いですが、悪性の場合には、ガン細胞を少しも取り残さないように、シコリやコブの他にも、その周囲の組織を含んだ広い範囲を切除する必要があります。

しかし、肛門の周囲の皮膚は、適度に伸縮する必要があるため、皮膚にあまり余裕がなく、周囲の筋肉にも肛門括約筋などがある事から、広範囲に切除する事が難しいと言われています。

そのため、できる限り腫瘍が小さい初期のうちに手術を受ける必要があります。

手術が難しい場合には、ホルモン剤を使用して腫瘍を小さくする内科治療、放射線を腫瘍に照射して死滅させる放射線治療、液体窒素で腫瘍を凍らせて死滅させる凍結療法(液体窒素凍結法)などが行われる場合もあります。

犬の肛門周囲腺腫の予防

犬の肛門周囲腺腫を予防するには、若いうちに去勢しておく事が、最も効果的と言われています。

しかし、去勢する事によって発症率をかなり低く抑えられる事にはなりますが、100%確実に予防できるものではありません。

稀に、メスの犬にも発症する場合があります。

そのため、普段から肛門の周囲を清潔に保つように心がけながら、何らかの異常が生じている可能性がある場合には、悪化してひどくなってしまう前に、早期に詳しい検査を受ける事が大切になります。

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犬の肛門嚢炎(肛門腺炎)の原因、症状、治療、予防について



犬の肛門の周囲が赤く腫れていたり、ぽっこりと膨らんだシコリやコブができていたり、膿を含んだ血や体液が出ている場合には、肛門嚢炎が起こっている可能性があります。

犬の肛門嚢炎(肛門腺炎)

犬の肛門嚢炎は、犬の肛門の左右(4時と8時の位置)にある肛門嚢(肛門腺)と呼ばれる分泌腺に炎症が起こり、肛門嚢の周囲の皮膚(粘膜)が赤く腫れたり、ただれたようになる病気です。

ひどくなると、肛門嚢が破裂して、犬の肛門の左右のいずれか、またはその両方に、深くえぐれたような傷口ができる場合もあります。

犬の肛門嚢は、強い臭いのする分泌液が溜まる袋状の分泌腺で、スカンクやイタチが強い臭いのする分泌液を溜める臭腺が退化したものと考えられています。

犬はスカンクやイタチのように、意図的に肛門嚢に溜まった肛門嚢液(肛門腺液)を排出する事はできませんが、排便時の肛門括約筋の収縮によって、その袋状の肛門嚢が圧迫されるため、便とともに分泌液が排出されるようになっています。

しかし、チワワ、トイプードル、ミニチュア・ダックス、シーズー、ヨークシャー・テリア、パピヨンといった小型犬は、肛門括約筋の力が弱いため、排便時にも肛門嚢に溜まった肛門嚢液を排出する事ができない場合があり、分泌液が溜まったままの状態になる事があります。

大型犬であっても、加齢とともに肛門括約筋の力が弱くると、肛門嚢液が排出されにくくなってくる場合があります。

犬の肛門嚢炎(肛門腺炎)の原因

犬の肛門嚢炎は、肛門嚢の内部に肛門嚢液が溜まったままになっていると、肛門嚢の内部で雑菌が繁殖しやすくなったり、周囲の組織への湿潤が起こり、その内部に炎症が生じるようになります。

そして、肛門嚢の内部に、細菌や膿、血液や浸出液などを多く含んだ膿性分泌物が溜まったままの状態になっていたり、肛門嚢の炎症が慢性化すると、膿瘍を作ったり、周辺組織の腫瘍化が起こる場合があります。

肛門嚢の腫れがひどくなり、肛門嚢の出口が狭くなったり、完全に閉じてしまうと、肛門嚢の内部に分泌物が溜まったまま出口を失い、肛門嚢が破裂してしまう場合があります。

そのため、定期的に肛門嚢絞り(肛門絞り)を行っていない場合には、肛門嚢炎を発症してしまう場合があります。

肛門嚢の炎症がそれほどひどくない場合であっても、犬が軽微な痒みや違和感を感じて、床や地面、壁などに何度も擦り付けてしまい、雑菌が繁殖してしまう場合があります。

腸内環境の悪化によって、下痢や便秘が続き、肛門嚢の細菌感染が起こりやすくなったり、肛門嚢に分泌液の過剰な貯留が起こり、肛門嚢炎の原因になる場合もあります。

犬の肛門嚢炎(肛門腺炎)の症状

犬が肛門嚢炎になると、お尻に違和感を感じて、お尻をしきりに気にするようになったり、床や地面にお尻をこすり付ける事が多くなります。

肛門の周囲の皮膚が赤く腫れていたり、ただれたようになっているのを確認できる場合もあります。

細菌感染によって発熱が起こり、元気が無くなったり、粗相をするようになる事もあります。

肛門嚢の腫れや膨らみが大きくなると、肛門が圧迫されるようになるために、排便の際に便が出にくくなったり、排便に時間がかかるようになる場合もあります。

肛門嚢の炎症がひどくなると、肛門の左右にある肛門嚢が腫れて大きく膨らんだようになり、触られると痛がるようになります。

肛門嚢の炎症がさらにひどくなると、肛門嚢が破裂してしまい、肛門の左右のいずれか、またはその両方に、大きな穴が開いたような深い傷口が現れ、膿を含んだ出血が見られたり、浸出液が出るなどして、じゅくじゅくした状態になります。

犬の肛門嚢炎(肛門腺炎)の治療

犬の肛門嚢炎の治療は、肛門嚢に溜まった膿性分泌物を排出して、洗浄剤を使用して病変部周辺を洗浄したり、消毒薬による殺菌が行われます。

また、抗生物質や抗炎症薬の投与によって、化膿を抑える処置も行われます。

肛門嚢の内部の分泌液の貯留がひどい場合や、排出が困難な場合には、外科治療が行われ、肛門嚢の破裂や自壊が起きている場合には、肛門嚢そのものを摘出する処置が取られます。

犬の肛門嚢炎(肛門腺炎)の予防

犬の肛門嚢に、肛門嚢液が溜まったままにならないように、月に1度は肛門嚢絞りを行うようにして、普段から肛門の周囲の汚れにも注意しておく必要があります。

犬によっては、排便とともに肛門嚢液を自然に排出できる場合があり、定期的に肛門嚢絞りを行っても、肛門嚢液がほとんど出てこない場合もあります。

また、肛門嚢液が通常よりも多く溜まりやすい体質の場合もありますので、その犬に応じた頻度で行ってあげる必要があります。

犬の肛門嚢炎は、早期に治療を受ける事ができれば、手術を受ける事もなく、薬物治療だけで快方へと向かう事が多いため、異常の有無をチェックしておく事も大切です。

肛門の周囲に汚れが付いたり、雑菌が繁殖しないように、予め陰部や肛門の周囲の被毛は、短くカットしておく事も、肛門嚢炎の予防につながります。

また、加齢とともに肛門嚢液が溜まりやすくなってくる場合もありますので、特に異常が生じていなくても、定期的なお手入れは必ず行ってあげる必要があります。

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