犬の歯周病(歯肉炎、歯肉退縮、歯周炎、歯槽膿漏)の原因、症状、治療、予防について



犬の歯周病

犬の歯周病は、ある時から突然起こるものではなく、少しずつ時間をかけて進行していく口腔疾患です。

歯や歯肉(歯茎)に付着している食べカスは、食後6~8時間程で細菌が増殖して、細菌の塊(細菌コロニー)である歯垢(プラーク)になると言われています。

歯と歯肉の間の歯肉溝と呼ばれる所に、その歯垢が溜まったままの状態で放置していると、細菌(歯周病菌)が作り出す毒素によって歯肉に炎症が起こるようになります。

そして、歯肉の炎症によって、徐々に歯と歯肉の隙間が広くなっていき、ますます歯垢が溜まりやすくなっていきます。

そのようにして、歯肉溝が広がり深くなったものは、歯周ポケットと呼ばれており、その周囲の歯肉の炎症は、歯肉炎と呼ばれています。

歯垢は、柔らかくネバネバしていますが、2~3日経つと、唾液中のカルシウムやリン酸塩と結合して、石灰化して硬くなります。

そのように硬くなったものは、歯石(ターター)と呼ばれています。

歯石は、表面がデコボコしており、歯垢が付きやすくなっているため、小さな歯石を放置していると、ますますその歯石が大きくなり、さらに歯周ポケットを広げてしまう事になります。

また、歯肉の炎症がひどくなると、細菌が歯を支えている歯槽骨や歯根膜などの歯周組織にも侵入して破壊するため、歯を支える力が弱くなり、歯がぐらつくようになっていきます。

そのようにして、歯肉炎がひどく重症化したものは、歯周炎または歯槽膿漏と呼ばれています。

歯周病は、このような口腔内に生じた歯肉炎、歯肉退縮、歯周炎、歯槽膿漏などの総称です。

犬の歯周病の原因

歯周病は、時間をかけてゆっくり進行していく事から、静かなる病気(サイレント・ディジーズ)と言われています。

3才以上の犬と猫の約80%は、歯周病を持っており、犬と猫の口腔疾患の中では最も多く見られる病気と言われています。

犬の歯周病の原因は、歯と歯肉の間の歯肉溝と呼ばれる所に、食べカスなどの汚れが溜まったままにしているために、その歯肉溝で細菌が繁殖して、細菌コロニーである歯垢を形成してしまうためです。

そのため、日頃から歯磨きを行う習慣が無い場合には、歯周病が起こりやすくなります。

また、唾液の分泌量の減少や、免疫力の低下も、口腔内の自浄作用が低下するため、歯周病が起こりやすくなる事が知られており、高齢になってくると、口腔内に異常が現れやすくなり、重症化しやすくなる傾向にあります。

そのため、犬の歯周病は、高齢犬がかかりやすい病気の一つとされています。

犬の唾液は人間よりもアルカリ度が高いため、歯垢の石灰化による歯石の形成が、人間よりも早いという特徴があり、虫歯になりにくい反面、歯肉炎などの歯周病が起こりやすい傾向にあります。

犬の歯周病の症状

犬が歯周病になると、本来はピンク色の歯肉が炎症を起こして赤くなります。

軽度の場合には、それほど歯肉の赤みが目立たない場合もあります。

歯肉の炎症が進むと、歯肉に腫れが見られるようになったり、出血が起こりやすくなります。

歯に歯石が多く付いている場合には、生臭い口臭が強く感じられるようになります。

また、歯石の沈着とともに歯周ポケットも形成されていきます。

歯肉の炎症(歯肉炎)がひどくなり、歯や歯肉から痛みが生じるようになると、口を触られるのを嫌がるようになったり、口に物を入れるのも嫌がるようになるため、食欲が低下していきます。

このように、痛みを感じるようになっている状態は、歯肉炎が悪化したもので、歯周炎と呼ばれています。

歯肉の腫れや退縮がひどく、歯肉に膿が溜まっているなど、歯周炎が重症化しているものは、歯槽膿漏と呼ばれる事もあります。

歯周組織の損傷がひどくなってくると、歯槽骨に膿が溜まったり、歯槽骨が溶け出してしまったり、ひどい場合には顎の骨までもが溶けてもろくなってしまう場合があり、そのような場合には、硬いものを噛んだり、外圧が加わる事で、顎の骨を骨折してしまう事があります。

口腔と鼻腔を隔てる骨の厚さは非常に薄く、顎の骨が溶けてくると簡単に穴が開いてしまい、口と鼻がつながった状態になる事があります。

そのような状態は、口鼻瘻管(こうびろうかん)と呼ばれており、くしゃみ、鼻水、鼻血などの症状が見られるようになります。

歯の一部が欠けてしまう事は、破折(はせつ)と呼ばれています。

歯周炎(歯槽膿漏)がひどくなると、歯肉に穴が開いてしまう場合があり、そのような病態は内歯瘻(ないしろう)と呼ばれています。

また、目の下の皮膚など、体の外側にも穴が開いてしまう場合もあり、そのような病態は外歯瘻(がいしろう)と呼ばれています。

犬の歯周病の治療

犬の歯周病の検査には、視診による確認や、レントゲン撮影などが行われます。

軽度の歯肉炎の場合には、自宅での定期的な歯磨きが勧められます。

歯磨きを行う事が難しい場合には、歯石除去食や口腔用ジェル等の利用が勧められますが、歯磨き程の効果は得られません。

軽度の場合には、そのようにして口腔内を清潔に保つ事で、ゆるやかに改善していきます。

歯磨きだけでなく、治療が必要と判断された場合には、肝臓や心臓への負担を考慮の上で、麻酔下での歯石の除去、排膿、抜歯、切開、縫合などの処置が行われます。

麻酔無しでの歯科治療は、犬が痛みや恐怖心から暴れる事や、歯周ポケットに溜まった歯石を取り除けない事、顎の骨がもろくなっており、骨折の危険性がある事などから、ほぼ不可能と言われています。

犬の歯周病の予防

犬の歯周病の予防は、子犬の頃から歯磨きを行う習慣を身につけておく事が重要です。

歯磨き効果のあるガムやおもちゃを与える事も、予防につながると言われています。

しかし、硬いおもちゃは、歯肉から出血を起こしたり、歯が強く擦れてエナメル質が削れたり、歯が欠けてしまうなど、口腔内のトラブルの原因になる場合があります。

また、歯で噛み砕いてしまう恐れのあるおもちゃは、小さな破片を誤食してしまう恐れがありますので、十分注意が必要です。

歯垢は一度取り除いても、6~8時間程で再び沈着してしまいますので、できれば毎食後、しっかり歯磨きを行う事が望ましいと言われています。

しかし、犬は口の中に物を入れられるのを嫌がる事が多いため、最初のうちは、ガーゼや手袋などで触る事から、少しずつ慣らしていくようにして、恐怖心を与えない事が大切です。

強い恐怖心から、歯磨きを頑なに拒んでしまうようになると、その後の口腔ケアが難しくなってしまいますので、嫌がらないように、愛犬の様子を見ながら、スキンシップを兼ねて行う必要があります。

また、歯磨きに慣れないうちは、大人しくできた際にはご褒美をあげるようにして、楽しい事だと覚えさせる事も重要です。

犬の歯周病は、ひどくなると、手術が必要になる場合や、病変部の細菌や炎症性物質が全身へと循環する事で、胃腸や心臓、腎臓や肝臓など、他の臓器にも悪影響を招くようにもなりますので、決して甘く見てはいけません。

老犬になるほど、歯周病は多く見られるようになりますので、定期的に愛犬の歯や歯肉の色など、口の中の様子をよく観察しておく事も大切です。

光の力で驚きの効果を生み出す光触媒テクノロジー、安心安全な抗菌・除菌・消臭ミスト