犬の腎不全(急性腎不全と慢性腎不全)



犬の腎不全

犬の腎不全(慢性腎不全)は、尿のろ過を行っているネフロン(腎臓の最小機能単位であり、腎小体と尿細管からなる組織)が少しずつ損傷していき、やがて腎臓の機能が慢性的に不全状態に陥った状態になる病気です。

人間には、左右の腎臓を合わせるとネフロンが約200万個あり、犬には約80万個、猫には40万個あると言われています。

そのため、犬や猫は腎臓機能は、人間に比べるとやや脆弱であると言われています。

腎不全の中でも、急性腎不全と呼ばれるものは、わずか1日で腎臓機能に損傷が起こるなど、短期間のうちに発症する腎臓病で、慢性腎不全と呼ばれるものは、数ヶ月~数年という長い年月をかけて、少しずつ腎臓機能に損傷が起こっていく腎臓病です。

腎臓は、肝臓と同じく、沈黙の臓器と呼ばれており、症状が現れにくいと言われています。

腎臓のネフロンには、大きな予備能力があると言われており、ダメージを受けたネフロンを他のネフロンが補う事で、機能を果たす事ができるとされています。

そのような事から、腎臓の機能の低下が確認できた際には、かなり病状が進行していると言われています。

急性腎不全は、適切な治療を早期に行い、腎臓の機能を低下させた要因を取り除く事ができれば、次第に機能を取り戻す可能性もあると言われています。

慢性腎不全は、腎臓の機能のうち、4分の3以上が失われ、症状が現れた病態ですので、その失われた腎臓機能が回復する見込みはほとんどなく、病態の悪化を防ぎ、腎臓の機能を維持するための処置が行われる事になります。

犬の急性腎不全の原因

犬の急性腎不全は、原因の箇所に応じて3種類に大別されています。

1.腎性急性腎不全

腎臓そのものの障害によって起こるもので、細菌感染(レプトスピラ症など)、薬物中毒(抗生物質中毒など)、薬物アレルギー(抗がん剤アレルギーなど)、食中毒(レーズン中毒など)といった影響から、急性腎炎やネフローゼ症候群(低タンパク血症)などを起こした病態です。

2.腎前性急性腎不全

腎臓そのものは正常ですが、心臓疾患や脱水などの急激な血圧低下から、腎臓に流れ込む血液量が減少したために、体液の減少を防ごうとして、乏尿(尿の排泄量の低下)やショック状態を起こした病態です。

腎臓の機能自体は、正常なまま維持されている場合が多いと言われています。

3.腎後性急性腎不全

腎臓で作られた尿が排出される経路(膀胱や尿道など)が、結石や腫瘍などの影響で閉塞したり、事故などによって損傷したために、排尿障害を起こした病態です。

尿流の停滞に伴い、尿路感染症が起こり、腎盂腎炎を併発する場合があります。

犬の慢性腎不全の原因

犬の慢性腎不全は、食事、老化、基礎疾患などの影響から、ゆっくりと時間をかけて腎臓の損傷が起こると言われています。

また、遺伝的な影響からも、腎不全を発症しやすい場合もある事が知られています。

1.食事

塩分量の多い人間の食べ物を与えていたり、リンなどの腎臓に負担をかける成分を多く含んだ食材を多量に与えているなどして、腎臓に負担や疲労が蓄積してくると、腎臓機能が少しずつ低下していくようになります。

2.老化

加齢とともにホルモンバランスや自律神経の乱れが生じたり、代謝が低下して、内臓機能が緩やかに衰えてくるため、自然に腎臓の機能も低下してくるようになります。

また、体力や活力が衰えてくる事で、ストレスへの耐性も低下してくるため、その影響で腎臓への血流が悪化してくると、腎臓に負担がかかるようになります。

3.基礎疾患

糖尿病、がん、自己免疫疾患、水腎症、間質性腎炎、腎硬化症、多発性嚢胞腎などの病気を抱えている事から、腎不全を併発してしまう場合があります。

遺伝的に慢性腎不全を発症しやすい犬種

イングリッシュ・コッカー・スパニエル、ゴールデン・レトリバー、サモエド、シャー・ペイ、ジャーマン・シェパード・ドッグ、シーズー、スタンダードプードル、チャウチャウ、ドーベルマン、ノルウェジアン・エルクハウンド、ビーグル、ブル・テリア、 ミニチュア・シュナウザー、ラサ・アプソ、ロットワイラーなど

犬の急性腎不全の症状

犬の急性腎不全の症状は、ある時から突然現れるもので、食欲の喪失、吐き気や嘔吐の急増、無気力状態、排尿の停止(無尿)、腹痛(お腹を丸める)などの症状が見られるようになります。

これらの症状は、数時間から数日の間に急速に悪化していきます。

犬の慢性腎不全の症状

犬の慢性腎不全の症状は、加齢とともにゆるやかに現れるもので、多飲多尿(飲水量が増加し、排尿量も増加する事)、吐き気や嘔吐の増加、食欲低下、元気消失、体重減少、口臭や体臭の発生などの症状が見られるようになります。

初期の頃は、多飲多尿やおしっこの粗相などが見られる以外にはほとんど無症状であるため、腎臓の異常に気付く事が難しく、腎臓の機能のうち、4分の3以上の機能を失った頃から、少しずつ病的な異変が確認できるようになります。

犬の急性腎不全の治療

犬の急性腎不全の治療は、一刻も早く治療を受けなければ、命を落とす危険性が高いと言われています。

関節炎などの経口薬を摂取したり、干しブドウを口にしてしまった直後に、全く動かなくなったり、呼吸が浅くなってしまった場合には、急性腎不全を引き起こした可能性が高いため、すぐに動物病院へ連れて行く必要があります。

早期に治療を受ければ、腎臓機能が少しずつ回復してくるケースもあると言われています。

しかし、腎臓の障害が重度の場合には、命を取り留めても、慢性腎不全へと移行する場合があります。

全身性の障害が極めて深刻な場合には、死亡するケースもあります。

犬の慢性腎不全の治療

犬の慢性腎不全は、腎臓機能の4分の3以上が失われた事によって、病変が確認できるようになったものですので、腎臓機能の回復は難しく、症状の悪化を防ぎ、腎臓の機能を維持するための治療が行われます。

その治療は、主に食事療法が行われる事になりますが、程度に応じて輸液(点滴)治療や造血ホルモン剤の投与なども行われます。

食事療法は、腎臓の負担を軽減するために、タンパク質が制限された低タンパク食を与え、かつ、食欲不振による栄養不足を補うために、高カロリー食を与える必要があります。

肥満傾向にある場合には、カロリーを抑える必要があります。

獣医師より、タンパク質、エネルギー、水分の摂取量の細かな指示が出され、指導を受ける場合もあります。

腎不全の症状である多飲多尿は、体液の濃度を調整する機能が失われており、体に必要な栄養分や水分が排出されてしまう事によって起こるため、水分の摂取量を制限してしまうと、脱水を起こしてしまう恐れがあります。

しかし、腎不全に伴った浮腫、腹水などが確認できた場合には、医師の判断で水分量の制限が行われる事があります。

また、食後にしばらく時間をおいて経口投与する事で、体内の毒素を吸着し、便とともに排出する働きのある、特殊な活性炭の薬が処方される事もあります。

犬の腎不全の予防

日頃から、犬の腎臓にとっては負担の大きい人間の食事は与えないようにして、体格に応じた適量のドッグフードを与える事が大切になります。

また、排尿時の色や量にも注意しておき、愛犬が高齢になってきた場合には、定期健診を受けるようにして、早期発見、早期治療に努める事も大切です。

犬が食中毒を起こす恐れのある人間の食べ物や薬剤は、犬の届かない所に置くように十分注意しておき、屋外での散歩中も、生物毒を持つヒキガエルや、植物毒を持つユリ科植物などを口にしないように、常に愛犬から目を離さないようにしておく事も大切です。

屋外の落ち葉や枯れ木、植え込みや花壇の草花には、除草剤などの化学薬品や有毒なキノコ類が含まれている可能性がありますし、ハチに刺された事や、毒を持ったヘビに噛まれた事によって、肝不全や腎不全が生じた症例もありますので、むやみに落ちている物を口にしないように躾けておく事も重要です。

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犬の尿道炎(尿道出血、尿道狭窄、尿道閉塞、排尿困難)の原因、症状、治療、予防について



犬が陰部をしきりに舐めるようになったり、排尿中に痛がったり、トイレの頻度が多くなってきたり、おしっこに血が混じる場合には、犬が尿道炎などの何らかの泌尿器の病気にかかっている可能性があります。

犬の尿道炎

犬の尿道炎は、尿道の粘膜に炎症が起こっているために、排尿時に痛みや違和感が生じるようになったり、時には血尿を伴うようにもなる、犬の泌尿器の疾患です。

尿道炎は、体力や免疫力の低下した老犬がかかりやすい傾向にあります。

また、糖尿病、肝臓病、腎臓病などの基礎疾患や、甲状腺疾患や副腎疾患などのホルモン分泌疾患の影響から、免疫力がかなり低下しており、尿道炎が起こりやすくなる場合もあります。

犬の尿道炎の原因

犬の尿道炎は、尿道口から進入した細菌によって引き起こされる、尿路感染症が原因となる事が多い傾向にあります。

オスの犬は、足の短い犬ほど、陰茎(ペニス)の先が地面に付いて細菌感染が起こる場合があり、メスの犬は、排尿時にしゃがんでおしっこをする際に、細菌感染が起こる場合があります。

メスの犬は、オスの犬に比べると、尿道が短いため、尿道炎を発症しやすい傾向にあります。

また、犬が陰部を汚れをきれいにしようとしたり、臭いを抑えようとして、何度も舌で舐めて、口腔細菌が尿道口から入り込んでしまう場合もあります。

膀胱炎、包皮炎、膣炎などの感染症から波及して起こったり、尿路結石(尿石)によって尿道粘膜に傷がつき、細菌感染が起こりやすくなる場合もあり、このような病変が併発して起こる場合もあります。

犬の尿路結石は、栄養分の偏り、ストレス、水分の不足、排尿の我慢などから起こり、尿が濃くなったりphが酸性またはアルカリ性に傾く事によって、結石が形成されやすくなります。

他にも、犬の尿道炎は、尿道に現れた腫瘍(尿道腫瘍、尿管腫瘍)やポリープが原因となる場合もあります。

犬の尿道炎の症状

犬の尿道炎は、程度がかなり軽い場合には、わずかな痒みや違和感などが生じるだけですが、犬が陰部を気にして、よく舐めるようになる場合があります。

尿道の炎症がひどくなってくると、排尿時に痛み生じるようになるため、排尿中にも痛がって鳴くようになったり、少量の尿をこまめに出すようになる頻尿の傾向が見られるようになる事があります。

そして、尿道炎になると、排尿時の最初と最後だけに血尿が見られるようになる場合もあります。

膀胱炎を併発した場合には、尿の全てが血尿であったり、排尿時の最後だけが血尿になる事が多くなります。

オスの犬が包皮炎を併発したり、メスの犬が膣炎を併発すると、性器にドロドロした粘度のある膿が付くようになります。

尿道の炎症がひどくなり、粘膜の腫れが大きくなってくると、尿道の内壁が狭くなってきたり、尿道の閉塞が起こる場合があり、犬が排尿しようとしても、なかなか尿が出なかったり、排尿に時間がかかるようになります。

尿道が完全に閉塞してしまうと、膀胱や腎臓に尿が溜まったままの状態になるため、腎機能障害を起こしたり、尿毒症などの重篤な病態を招いてしまう事があります。

犬の尿道炎の治療

犬の尿道炎の診断は、尿検査、血液検査、レントゲン検査、細菌培養検査などが行われ、細菌、結石、腫瘍の有無の確認などが行われます。

細菌感染が原因の場合には、その細菌に効果のある抗生物質や消炎剤など薬剤を使用した内科治療が行われます。

結石が確認できた場合には、食事療法が取られる場合もありますが、ひどい場合には、外科手術による結石の摘出が必要になる場合もあります。

腫瘍が確認できた場合には、外科手術を行うなどして、腫瘍の状態に応じた処置が取られます。

尿道閉塞がひどく、排尿困難や完全なる閉尿を起こしている場合には、カテーテルによる導尿が必要になります。

犬の尿道炎は、尿道に微細な炎症や傷などの病変が一切無い場合には、排尿によって細菌が洗い流されるために、尿道炎が起こる事がほとんど無いと言われてます。

そのため、犬が尿道炎をはじめ、膀胱炎や前立腺炎などの尿路感染症を発症した場合には、症状だけで病態を判定する事が難しく、排尿痛、血尿、頻尿などの症状が改善した際にも、まだ尿路に微細な炎症や傷があり、そこはまだ細菌が潜伏している場合があります。

そのため、尿道炎を抗生物質療法により治療を行う場合には、投薬期間が短い場合には、尿路に潜伏した細菌を完全に死滅させる事ができず、すぐに再発を起こす場合がありますので、自己判断による休薬は避け、獣医師の指示に従い治療を続ける必要があります。

そのような病変が無い場合であっても、結石などから再発する事も多いため、普段から予防(再発予防)に努める事も大切になります。

犬の尿道炎の予防(再発予防)

犬の尿道炎は、飲み水をあまり飲まない場合には、尿が濃くなり結石が発生しやすくなりますので、毎日新鮮な飲み水を用意するようにしたり、ご飯にも水分を含ませたり、ご飯とは別に、鶏肉を湯でたスープを与えるなどして、積極的に水分補給を促してあげる必要があります。

ドッグフードの栄養バランスが体質に合っていない可能性がある場合には、結石の形成予防やpHコントロールの施されたドッグフードに変更する事も大切です。

犬が家の中でおしっこをする習慣が無い場合には、留守番中や、天候不良などで散歩ができない日は、おしっこを長い間我慢し続けてしまう場合がありますので、家の中でも積極的におしっこができるように練習しておく事も大切です。

トイレが汚れていたり、トイレの臭いが強い場合には、おしっこを我慢してしまう事もありますので、トイレはいつも清潔な状態に保ち、いつでも気持ち良く、犬がおしっこできるようにしておく事も大切です。

また、他の病気を予防する上でも、犬の年齢や体質に応じて、動物病院で定期健診を受けるようにする事も大切な事です。

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